研究課題/領域番号 |
20K00180
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分01060:美術史関連
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研究機関 | 愛知学院大学 |
研究代表者 |
井上 仁美 (井上瞳) 愛知学院大学, 文学部, 准教授 (50779337)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | ボストン美術館 / 在外日本美術コレクション / ビゲロー / フェノロサ / 岡倉天心 / 法明院 / 文化財保護 / 近代仏教 / ジャポニスム |
研究開始時の研究の概要 |
在外で最大を誇るボストン美術館の日本美術コレクションの礎を築いたのは、明治期に来日したアーネスト・フェノロサ、ウィリアム・スタージス・ビゲロー、そして岡倉覚三(天心)らであった。しかしビゲローの活動についてはあまり知られていないが、実は明治期の日本美術や文化財保護の確立の背景には彼の存在があった。フェノロサの日本の文化政策における業績も、岡倉のボストン美術館での活動も、彼なくしては成し得なかった。本研究ではビゲローに焦点を当て、日米での文化支援における事績を詳らかにし、美術―仏教―美術館―文化支援をつなぐジャポニスム研究、海外の日本美術受容とコレクション研究への新たな視点を提示する。
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研究成果の概要 |
本研究では、ボストン美術館理事ウィリアム・スタージス・ビゲローの日米における文化支援の事績を取り上げ、ボストン美術館における日本美術コレクションの形成とその位置付けについて、特に仏教思想との関連から考察を行った。 まず1904年のボストン美術館『理事報告書』について、理事ビゲローによる日本美術部の支援と事績を明らかにした。 またビゲローは来日中に、天台宗寺門派の園城寺法明院桜井敬徳から受戒しており、現在も法明院に関係資料が残っている。ビゲローをはじめ、アーネスト・フランシスコ・フェノロサ、町田久成、岡倉覚三(天心)らの書簡や日誌など近代資料の整理解読を行い、考察を加え、調査報告書を刊行した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
ボストン美術館の『理事報告書』や書簡類の分析により、日本美術を「小芸術」として美術館の常設展示から外そうとする動きを退けたのがビゲローであったことを明らかにし、日本美術の位置付けに関して、これまで考えられていた以上にビゲローが果たした役割が大きかったことを提示した。 法明院に所蔵される近代資料の全画像と、書簡類の翻刻、英文書下しを掲載する『園城寺法明院近代資料調査報告書』を刊行し、これまで断片的にしか知られていなかった本資料の全体像を示した。法明院の歴史と、明治時代の仏教を通した日米の交流について多角的に考察を加え、ビゲローが仏教界と日本美術支援に果たした具体的な事績を明らかにした。
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