研究課題/領域番号 |
20K00200
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分01060:美術史関連
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
豊山 亜希 近畿大学, 国際学部, 准教授 (40511671)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | インド / セイロン / 商家建築 / 壁画 / ナショナリズム / 日本製タイル / 和製マジョリカタイル / 植民地インド / スリランカ / 植民地美術 / タイル / 民族主義 / 日本 / マジョリカタイル / 陶磁器人形 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、イギリス統治下のインドとセイロン(現スリランカ)における装飾壁画の様式的変遷から、その文化的交流の実態を明らかにすると同時に、ともにイギリス植民地であった両者の経済的不均衡が、それぞれの社会で排他的な民族主義を生み、現在に至る緊張関係を形成していく過程を読み解くものである。太守の日常的な生活・信仰空間を飾る壁画について、実地調査によって基礎資料を作成し、そこに用いられた材料・技法、描かれた主題と表現形式の変化を分析・比較する。研究を通して、植民地化以前から交流してきた両地域が、それぞれ別の宗教を核とした民族主義を醸成し、現代南アジア社会のアイデンティティを確立する過程を明らかにする。
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研究成果の概要 |
本課題においては、イギリス統治下にあった20世紀前半のインドとセイロン(現スリランカ)において、宗教建築と世俗建築ともにさかんに制作された装飾壁画の主題選択および様式的特徴の歴史的変遷を分析することにより、インドにおいてはヒンドゥー教、セイロンにおいては上座仏教というそれぞれの地域の多数派宗教の視覚表象が、制作当時に興隆した独立運動と結びついて政治的意味を強化していく過程を調査した。とりわけ、植民地経済の発展とともに社会的地位を上昇させた商人階級が施主となった建造物に着目し、政治性を帯びた装飾壁画が施主の政治運動への経済的支援と関連していることを実証的に解明した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究の成果は、南アジアの二地域(インド、スリランカ)を比較対象として、植民地経験が国民文化としての視覚表象をどのように形成し、それぞれの地域の「国民」範疇における複数の民族の交流と対立が、芸術にどのように投影されているかを実証的に明らかにしたことにある。いわゆる純粋芸術よりも社会景観の形成と密接に関わる商家建築の装飾壁画に焦点を当てて実地調査と文献調査を組み合わせることにより、従来の美術史研究では議論が不足していた、美術、政治、社会経済の相互関係の具体的理解につながり、また現在の国民国家における文化や伝統の起源の批判的理解につながった点において、本研究の社会的意義は大きいものと考える。
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