研究課題/領域番号 |
20K00225
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分01070:芸術実践論関連
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研究機関 | 熊本高等専門学校 |
研究代表者 |
西村 勇也 熊本高等専門学校, 電子情報システム工学系CIグループ, 准教授 (60585199)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 楽器音響 / ヴァイオリン / 魂柱 / 放射特性 / 共振周波数 / 調整 / CTスキャン / 音楽音響 / 放射特性・指向特性 / 魂柱・駒 / バイオリン / 擦弦楽器 / 楽器製作・調整 / 技術継承 / 指向特性 / 駒 / X線CTスキャン / 職人の技術継承 |
研究開始時の研究の概要 |
バイオリン製作は1500年代中期に始まり、今日までさまざまな技法・流派により製作・調整されている。製作・調整の大半は職人のこれまでの試行錯誤や経験的な勘などのノウハウの蓄積に頼って行われており、門外不出とされている。また、製作指導書や文献は極めて少なく、その多くは音響学的に正しいか否かの判断が付かないことが多い。また製作指導書は共通して調整についての記述が少ない。 本研究ではバイオリン製作・調整特に指向性に大きく影響し、中枢神経の働きをする性質を持つ「駒」と「魂柱」の位置関係にターゲットを絞り、楽器の実演奏時の指向特性との相関関係を明らかにし、バイオリン職人の技術継承支援を目的としている
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研究成果の概要 |
多岐に渡るバイオリン調整の中から評価が一貫して揺るがない楽器の指向特性をターゲットとして「駒と魂柱の調整のみでどのように指向特性が変化するのか」について、CTスキャンによる魂柱位置の把握と無響室での演奏音を収録し指向特性の評価を実施した。 複数台のバイオリンを用いた実験の結果、職人による魂柱調整によって放射特性が大きく変化することが明らかとなり、先鋭(遠鳴りの音)となる条件を様々な魂柱位置から抽出した。先鋭となる条件は、魂柱と表裏の板との接地面積に大きく依存することが明らかとなり、更に共振周波数の理論計算からバイオリン筐体内の共振周波数の発生と先鋭さに相関があることが明らかとなった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究は、バイオリンが調整によって生まれ変わる可能性を秘めていることを楽器職人は理解しているにもかかわらず、これまで研究されてこなかったという点に加え、調整技術は技術・伝統の継承や職人育成のため習熟の必要があることから社会的意義は極めて高い。 音響工学を専門とする研究代表者とバイオリン職人が職業的枠組みを超えて、工学理論と洗練された職人の感性とが有機的に結び付けば、17-8世紀に製作された銘器バイオリンの音響法則の解明と、その法則を反映したより優れたバイオリン製作・調整技術が開発される潜在的可能性を有している。本研究は可能性の一要素となり職人の技術継承を推進する意味でも学術的意義が高い。
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