研究課題/領域番号 |
20K00275
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分01080:科学社会学および科学技術史関連
|
研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
田中 泉吏 慶應義塾大学, 文学部(三田), 准教授 (90757098)
|
研究分担者 |
鈴木 大地 筑波大学, 生命環境系, 助教 (60866672)
太田 紘史 新潟大学, 人文社会科学系, 准教授 (80726802)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
|
キーワード | 意識 / 進化論 / 行為者性 / 生物学的説明 / 相同性 / 生物学の哲学 / 視覚意識 / 神経生物学的自然主義 / 意識の進化的起源 / 動物意識の誕生 / 生物学的自然主義 / 心の哲学 / 進化生物学 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、意識に関する解決困難な問題を「生物学の哲学」の観点から再構成し、解明を目指すものである。意識の問題がいわば「生物学化」されることで、進化のデータを説明項に含む「意識の生物学的説明」の実現が期待できる。その過程で、関連する生物学の概念や方法論が吟味される。最終的に、意識の生物学的説明が意識理論に対してどのような含意や制約をもたらすかを見極める。
|
研究成果の概要 |
意識に対する近年の進化論的アプローチを比較検討しながら、生物学の哲学の知見を踏まえた独自の分析をおこなった。まず、脊椎動物全般にみられる意識が相同である一方、その神経基盤が種によって異なるという事態を、相同の階層相対的な性格の一般性という観点から無理なく理解できることを示した。次に、意識を生存への貢献や高度な報告能力と結びつける見解を批判的に検討したのちに退け、意識を行為者性と結びつけるという新たな見解を提示した。この見解に基づくと、意識は行為者としての生物個体が、自身の環境の中で、自分自身の理由や目的に応じて柔軟かつ能動的に行為を選び取るための背景を提供するものとして理解されることになる。
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
近年とみに盛んになっている意識の進化研究について、科学哲学、心の哲学、および進化生物学の知見を踏まえて批判的に検討し、独自の分析をおこなった。学際的な研究領域であるため、その成果の波及範囲は広い。また、研究成果を国内外の学術誌で発表し、国内外の関連分野の研究者の議論を喚起した学術的意義は大きい。本研究の延長線上には、動物の意識に関する知見が動物の倫理的扱いにどのように影響を及ぼすかという実践的な問題が位置づけられるため、今後の展開次第では動物に対する道徳的配慮や法整備に含意をもつ結論が導き出される可能性もある。その意味では大きな社会的意義をもちうる研究成果であると言うことができるだろう。
|