研究課題/領域番号 |
20K00276
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分01080:科学社会学および科学技術史関連
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研究機関 | 専修大学 |
研究代表者 |
廣川 和花 専修大学, 文学部, 教授 (10513096)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 地域医療 / 医学史 / 診療録 / 医療アーカイブズ |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、医者・患者双方の視点から、日本における地域医療の「近代化」の過程を明らかにする。 (1)診療形態と連関した医療費支払いの構造 (2)社会経済的条件およびジェンダーに規定された家族内での医療受給状況 (3)診療録に記載される医学的記述 以上の三要素に着目して、生存を保障する条件としての地域医療の実態が、いつどのように「近代化」を遂げたのかを検討し、それぞれの要素にいかなる近世・近代の間の連続と断絶があるのかを明らかにする。これを通じ、個々人の生存を保障する支払い主体としての家や経営主体と、病む身体を持つ個人を、重層的・複合的に把握する。
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研究実績の概要 |
本研究は、複数の医療者がそれぞれ作成した各種の医療記録を比較検討し類型化することを通じて、近世後期から明治期の地域医療従事者による日常の医療実践を、その連続面と断絶面に注目しながら再構成することを目標としている。本年度は、第2段階として設定した「医療記録の類型化と医療実践の再構成」を実行し、第3段階の「地域医療の三要素の検討」に着手した。 第2段階の作業としては、これまでに収集した資料群に含まれる各種医療記録を、それぞれが作成された背景や必要性の観点から類型化し、当時の地域医療の現場で行われていた実践内容の再構成を試みることとした。第3段階では、本研究が着目する地域医療の「近代化」の指標となる三要素(①診療形態と連関した医療費支払いの構造、②家族内での医療受給状況、③診療録の医学的記述)を用いて、複数の医家の医療記録を比較検討する作業を開始した。 具体的には、前年度に学会等で研究報告を行った2つの事例研究を発展させ、原著論文としてまとめた。第一は、山形県の大正期の遊廓における娼妓の健康診断資料の詳細な分析を行い論文化したもの、第二は、栃木県の近世後期~明治期にかけての在村医資料を素材として地域医療の近代化の長期的な過程を種痘の普及との関係から論じた論文を執筆・刊行したものである。いずれも本研究の第3段階に向けての中核的な作業と位置づけられ、今年度は三要素のうち主に①の検討を重点的に行った。とりわけ栃木県の在村医の事例に関しては、診療形態および医療費支払いの構造を具体的に明らかにすることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
資料の分析やデータ入力などは、アルバイトも活用しておおむね順調に行うことができた。それをもとに行った学会発表や論文執筆などを通じて、新たな論点を発見し、考察を深めることができた。 加えて、今年度も引き続き新型コロナの流行を踏まえて、医学史や日本史分野で感染症流行の歴史への関心が高まっていることから、数多くの資料発掘や研究成果の公表がなされたため、本研究に関連する情報の収集につながった。これらを総合的に勘案すると、おおむね順調に進展しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
本研究で収集した複数の医家資料をもとに、できるかぎり事例研究を具体化・豊富化することで、比較検討をより充実した形で行うことを目指す。そのために、引き続き学会発表などの機会を利用して事例研究の考察を深めていくとともに、データ入力等の作業に関してはアルバイトも活用して効率的に行っていく予定である。
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