研究課題/領域番号 |
20K00419
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02030:英文学および英語圏文学関連
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研究機関 | 高崎健康福祉大学 |
研究代表者 |
松田 幸子 高崎健康福祉大学, 人間発達学部, 准教授 (10575103)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2022年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2021年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2020年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | スコットランド移民 / ナショナル・アイデンティティの形成 / 越境性 / スコットランド史 / ナショナル・アイデンティティ / 越境 / 海洋文化 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、〈海を行くスコットランド人〉の多様なありようを、19世紀の島・海洋を舞台とした小説から明らかにしようとするものである。これは、自らの過去から〈スコットランド的なるもの〉を見出そうとする〈内なるスコットランド〉への動きを追うことから離れ、広範囲な移動による絶え間ない他者との接触からスコットランドらしさが形成される過程を追う、いわば〈外なるスコットランド〉の作用を検討する試みだ。19世紀の小説における〈海を行くスコットランド人〉の表象を通して、越境の過程でナショナル・アイデンティティがいかに多様に形成されるのかを明らかにする。
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研究実績の概要 |
2023年度2月21日・22日に国立国会図書館で行った調査に基づいて、今年度はRobert Louis Stevensonのテキストを中心に、移民としてのスコットランド人のナショナル・アイデンティティについて検討した。したがって、"The Bottle Imp"や"The Isle of Voices"といった南海についてのテキストとともに、とりわけ「移動」を描いたKidnappedやThe Ebb-Tideを、作家の書簡と合わせて読むことで、テキストにおいて、スコットランド性(Scottishness)がどのように立ち上げられていくのかを調査した。 また、スコットランド系移民を「グローバル・クラン」と位置づけた、Angela McCarthyらの研究(A Global Clan: Scottish Migrant Networks And Identity Since the Eighteenth Century, 2006)等を参照することによって、スコットランド系移民が地縁・血縁に基づいたソーシャル・ネットワークを、移住後も形成していたことが明らかになった。 とりわけ、Richar D. Fultonらのオセアニアにおけるスコットランド系という、これまで注目されてこなかった枠組みを取り入れることで、スコットランド人が独自のネットワークを保ちながら、南海というイメージとともに、自身のアイデンティティも構築していったことを考察した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
感染症とともに、ロシアのウクライナ侵攻のため、燃料等が高騰し、海外での調査・発表がきわめて困難になったため、当初予定していた文学作品以外のテキストの調査がほぼできていない状況である。
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今後の研究の推進方策 |
19世紀におけるStevenson以外の著作を検討する。特に、海外での調査ができていないため、出版された小説や雑誌記事以外の検討が大幅に遅れている。今後は、できればオーストラリアやニュージーランドも含めたオセアニアに移民したスコットランド系のジャーナルや手記などを収集・調査する。 そのために、オセアニアの国立図書館に、スコットランド系移民についてのまとまった資料があるかを調査の中心としたい。
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