研究課題/領域番号 |
20K00515
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02050:文学一般関連
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
黒岩 卓 東北大学, 文学研究科, 准教授 (70569904)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 比較文学 / 仏文学・仏語圏文学 / 近・現代文学 / 異文化コミュニケーション・翻訳・通訳 / グローバル化 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究課題は、中世フランスの叙事詩『ローランの歌』の受容が日本の近現代で果たした役割を明らかにすることを目的とする。明治・大正・昭和期の日本の学者たち(とくに前田長太、坂丈緒、佐藤輝夫)によるこの作品の紹介・翻訳・研究を、「(中世フランスの事物・制度を表現するための)言葉の創造」、「自文化との対比」、「政治的・社会的文脈」という三つのテーマを通して検証する。そしてこれらの検証を通じて「日本人によるフランス文化ひいては西洋文化の受容は、近現代の日本人にとってどのような意義があったのか、そしてこの受容は多極化する今日の世界でどのような意味をもつのか」という問いに応えたい。
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研究成果の概要 |
本研究課題は、中世フランスの叙事詩『ローランの歌』の日本近現代における受容とそのインパクトを研究したものである。とくに戦前から戦後にかけて、「武士道」や軍記物語のイメージを通していかに「敗北」や「滅び」といったテーマの影響下で『ローランの歌』が解釈・紹介されていたかを明らかにした。その過程で、日本での紹介・翻訳・研究に大きな力のあった坂丈緒や佐藤輝夫といった学者らの業績を調査しその再評価を行った。さらに戦後の児童文学としての翻案にも目配りを行い、同作品が20世紀を通じてどのように日本社会で広く受容されたかについても示した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究の学術的・社会的な意義は、中世フランス文学の研究や作品紹介を限られた好事家や研究者の興味の対象としてではなく、日本の近代化の歩みと密接に結び付いたものとして示したことにある。また中世フランス文学の代表作である『ローランの歌』の「日本的」解釈のありかたを示しそれを海外の研究者とも共有した。つまり本研究課題を通じて研究代表者は、日本社会に対しては近現代における西洋文化受容の具体例とその意義を示し、またフランスなど海外の研究者コミュニティに対しては、西洋の文化遺産が日本において再解釈・土着化される過程を明らかにし、もって日本の人文学の独創的側面を示したといえるだろう。
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