研究課題/領域番号 |
20K00708
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02090:日本語教育関連
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
舘岡 洋子 早稲田大学, 国際学術院(日本語教育研究科), 教授 (10338759)
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研究分担者 |
金 孝卿 麗澤大学, 国際学部, 教授 (30467063)
池田 玲子 昭和女子大学, 文学研究科, 教授 (70313393)
近藤 彩 昭和女子大学, 文学研究科, 教授 (90377135)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 日本語教師 / 越境的学習 / 教師教育 / 日本語教師の専門性 / 三位一体ワークショップ / キャリア・バージョン / 社会バージョン / いっしょにつくる / 教師の力量形成 / 越境プロセス / オンライン研修 |
研究開始時の研究の概要 |
国内での外国人材受け入れの進展や日系企業の海外進出等により、日本人と協働する外国人材が増えている。そこで必要とされる日本語教育も変化しており、日本語教師たちは今まで以上に企業や介護現場など対象業界やその環境等を学び、その現場に適した教育プログラムを編成し教育実践を行わなければならない。 本研究では、日本語教師が他分野へと越境し試行錯誤により学んでいるプロセスを越境的学習ととらえる。新しい時代の日本語教師の力量形成に重要なものとして、日本語教師の越境的学習の実態およびメカニズムを明らかにし、その成果を教師教育に役立てようとするものである。
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研究実績の概要 |
本研究は、日本語教師が他分野へと越境し学んでいるプロセスを「越境的学習」ととらえ、その実態とメカニズムを明らかにし、日本語教師の専門性を考察し、今後の越境的な活動を拡大していくための示唆を得るとともに教師研修に生かしていくことを目的としている。2023年度には、大きく3つの成果をあげることができた。 第1に、現職日本語教師を対象に三位一体ワークショップを実施し、対話によって内省を促す場をつくった。2023年8月18日に「あなたが目指す日本語教育ー実践現場からアクションプランを考えようー」と題して、一般社団法人全国日本語学校連合会(JaLSA)の加盟日本語学校の現職教師を対象に対面にてワークショップを実施した。10月14日から4回にわたり、「日本語教師」の専門性とキャリアについて考える」というワークショップをオンラインにて実施した。2024年2月17日には、大阪YMCA日本語教育センター3周年記念セミナーにおいて、「日本語教師の専門性を考えるための三位一体ワークショップ-自分の軸を見失わないために」をオンラインで実施した。 第2にコロナ禍も下火になり、海外での発表や講演も行うことができた。2023年9月1日に「日本語教師の専門性を考える―理念・フィールド・方法をつなぐもの―」として、オックスフォード大学にて開催の英国日本語教育学会(Batj)第25回年次大会にて基調講演を行った。翌9月2日には、「日本語教育をとおして実現したいものー専門性の三位一体モデルからー」として、ワークショップを行った。2024年3月9日には、タイ国カセサート大学にて開催の第1回タイ国日本語教育国際シンポジウムにおいて、「新人日本語教師の「理想の教師像」の変容―「専門性の三位一体モデル」による考察―」を発表した。 第3に、日本語教師のキャリアに関する論考を2本(単著と共著)まとめることができた
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本科研の開始と同時に書籍化プロジェクトが最終段階に入り、2021年度には『日本語教師の専門性を考える』(ココ出版)が出版された。その後、当該書籍のコンセプトおよびそこで提案された「専門性の三位一体モデル」を用いて、2022年度および2023年度は「三位一体ワークショップ」という名称で国内外において日本語教師たちに自身の専門性について考え、社会とのつながりを意識し、また日本語教師の周辺の仕事への越境を考えるような多様な場を設定してきた。 2022年度に「キャリア・バージョン」と「社会バージョン」の2つのバージョンを開発したので、それをふまえ2022年度からさらに対面の機会を増やして、2023年度は講演、ワークショップを行った。「研究実績の概要」に述べたとおり、2023年度は第1に現職日本語教師を対象に、内省を深める場をもつことができたことがひとつの大きな成果である。本ワークショップはもともと養成段階よりは初任あるいは中堅を想定して開発されたものであり、現場の課題を可視化し、自身の教育理念を明確化するためのものである。現職者にとっては日々の当たり前を振り返る機会になったと思われる。 第2に海外に出かけられるようになり、英国の学会で講演とワークショップを実施し、タイで口頭発表を行った。ワークショップに関しては、オンラインと対面と両方のノウハウが蓄積されたきたので、今後はニーズに合わせ目標と照らしながら、選択していく予定である。 第3に日本語教師のキャリアに関する論文をまとめることができた。日本語教育が激動の現代において、この時点でのキャリアとしての日本語教師をまとめておくことは必要なことだと考える。今後、環境が変化していく中で、越境のテーマと合わせてずっと日本語教師のキャリアを追っていきたい。
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今後の研究の推進方策 |
「三位一体ワークショップ」も対面とオンラインで経験を重ねてきて、改善がなされてきている。今後は、視点をさらに社会に広げつつ、越境という観点も持ちながら個人の内省を深めていけるような場をつくっていきたい。ひきつづき、越境者への調査としてのインタビューも進めていく予定である。 研究会では、いくつかのテーマに分かれて、研究活動を続けていく予定である。テーマとしては、①研究調査(文献調査、データ分析調査など)、②勉強会(ファシリテーション、キャリアなど)、③ワークショップの実施(キャリアバージョン、社会バージョン、ケースで深めるバージョン等)などが想定される。
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