研究課題/領域番号 |
20K00722
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02090:日本語教育関連
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研究機関 | 東京学芸大学 |
研究代表者 |
南浦 涼介 東京学芸大学, 教育学部, 准教授 (60598754)
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研究分担者 |
石井 英真 京都大学, 教育学研究科, 准教授 (10452327)
中川 祐治 福島大学, 人間発達文化学類, 准教授 (70352424)
三代 純平 武蔵野美術大学, 造形学部, 教授 (80449347)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 日本語教育 / 社会関係性 / 教育評価 / 測りすぎ / 形成的評価 / 社会関係構築 / 承認 / エンパワメント / エビデンスにもとづく教育 / 学校教育 / ナラティブ / 教育目的と評価 / 社会関係の構築と成長 / 多文化共生社会 / 社会正義 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の問いは「多文化共生社会実現のために、「社会とつながる教育評価」によって、日本語教育実践はいかなる「共同体の社会的つながり」をつくりだし、それがいかに「社会行為主体である学習者のことばの力」とその承認を生み出すか?」である。これを、日本語教育における3つの領域(留学生、地域、児童生徒等)で事例を検討し積み上げ、「社会とつながる教育評価」というナラティブによる教育評価の手法と概念を立ち上げる。
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研究実績の概要 |
2022年度の研究は,これまでの社会関係性をふまえた教育評価理論の提唱を,より意味を持たせていくために,日本語教育における近年のさまざまな評価のツールが生みだされてきた経緯とその中に埋め込まれた言説(評価をめぐっていかなる考え方がそこに埋め込まれ,具現化されてきたか)を分析し,それぞれの評価の発想の特質を明らかにするとともに,それが学び手と社会をどのように結びつけようとしてきたのかを検討した。 具体的には,a)CEFRとJF日本語教育スタンダードの関係,その評価の言説,b) 生活者としての外国人の日本語教育における参照枠の成立の経緯,その評価の言説, c)子どもたちの日本語教育におけるJSLバンドスケールとDLA,その評価の言説を検討した。a)のJF日本語教育スタンダードの検討では,とくにCEFRの評価観がどのように日本語教育における評価の議論に影響を与えているか、JF日本語教育スタンダードを中心に検討した。b)では文化審議会国語分科会(2012)『「生活者としての外国人」に対する日本語教育と能力評価について』および,文化審議会国語分科会(2021)『日本語教育の参照枠 報告』を比較検討した。 c)は多様な言語的文化的背景を持つ子どもたちの言語能力を捉えるツールを検討した。ここでは「JSLバンドスケール」と文部科学省を中心に開発された「外国人児童生徒のためのJSL対話型アセスメントDLA」の開発の経緯に焦点を当て,それぞれの評価の中にどのような考え方が埋め込まれているのかを,開発経緯が詳細に記述された報告書および論文,また当事者の聞き取りをもとに比較検討した。 それらをふまえて,これまでの評価言説においても社会との関係性の接続については検討がされてきているものの,具体的な評価については,「測りすぎ」の中で関係性による評価の視点はまだまだ希薄であることも明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究は全体的に進展している。具体的な実践の収集(留学生をはじめとする成人日本語教育における実践とその評価,生活者の日本語教育における実践とその評価,年少者日本語教育における実践とその評価)も完了し,海外の形成的評価の系譜と進展をふまえた理論的な枠組み,評価理論の整理と国内の日本語教育の状況に対する意義づけも充分にできている状態である。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は,成果報告を書籍化していくことを念頭に,残りの不足部分の研究(過去になされていた社会関係性の評価に類する事例の収集)を行い,それをふまえながら報告として執筆をしていく。 それを遂行するために,7月上旬にそれぞれの分担の部分のプロットの報告,および8月下旬に報告書原稿の草案を共有する会議を開く。その上で,年度後半に最終執筆を行い,報告書として公開できる準備をしていく。
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