研究課題/領域番号 |
20K00722
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研究機関 | 東京学芸大学 |
研究代表者 |
南浦 涼介 東京学芸大学, 教育学部, 准教授 (60598754)
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研究分担者 |
石井 英真 京都大学, 教育学研究科, 准教授 (10452327)
中川 祐治 福島大学, 人間発達文化学類, 准教授 (70352424)
三代 純平 武蔵野美術大学, 造形学部, 准教授 (80449347)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 教育評価 / ナラティブ / 教育目的と評価 / 社会関係の構築と成長 |
研究実績の概要 |
新型コロナウイルスの蔓延する中,1年目の科研としては,まず,方向性を確認すること,および理論的前提を共有することを念頭に置いた。そのため,まず,AERA(アメリカ教育学会)の研究ハンドブックである『Handbook of Research on Teaching』の中の,Penuel&Shepardのアセスメントに関するレビュー分析,および,日本語教育における評価研究の全体像,および教育の思想についての読書会議を2週間に一度行い,研究視点の基盤の共有と,問題の整理を行った。その上で,形成的アセスメントの意味,その捉えかたと問題意識を整理し,社会につながる教育評価が教育評価として成立するための射程を見定めていった。 その結果,Penuel & Shepardの示した4つの類型(1 データを駆動させていき,そこに介入をおこなってく教育評価, 2 戦略に重きを置き,そこに介入を行っていく教育評価,3 社会認知的な視点で教育を捉え,そこに介入を行う教育評価,4 社会文化的な視点で教育を捉え,そこに介入を行う教育評価)の視点は,それぞれ日本語教育でも置き換えることが可能であり,その視点の共有は今後の社会につながる教育評価の位置づけを描くのに重要であった。 現在,そうした視点を共有した上で,今後は日本語教育における教育評価の研究がどのようになっているのか,その全体像のレビューをおこない,学習の目標のおきかた,その中での評価のあり方を整理し,社会とのつながりの中での教育評価の射程を具体化していく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
コロナ禍であったが,研究の前提の共有期間であったこともあり,むしろ研究の前提となる文献共有については非常に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
この後の研究の方向は大きく2つである。 1つは,レビュー研究をもって,広く日本語教育における教育評価の歴史を洗い,どのような教育目的が設定されてきたことによって,どのような教育評価が必要とされてきたのかを検討していくことで,「社会につながる教育評価」の歴史的位置を明確にすることである。 2つめに,社会につながる教育評価において重要となる「間主観的な力の見取り」が具体的には何を指しているのかを,実践のステイクホルダーへのインタビューを基に学習者の言語の力の何を見取っているのか,そこにどのような価値をおいているのかを明らかにしていくことである。 これらによって,多文化共生社会や人口動態の大きな変化を求められる今の日本社会と日本語教育の関係を見すえながら,教育とその評価のありようを具体化していきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルスの蔓延の中で,当初想定していた旅費などへの算出が生まれなかった。そうしたことから,遠隔会議に必要となるような機器を必要とすること以外に支出が出ず,学会発表を含めて次年度に旅費や調査のための費用を回すことになった。そのため,繰り越しが生じた。
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