研究課題/領域番号 |
20K01025
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分03030:アジア史およびアフリカ史関連
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研究機関 | 神戸市外国語大学 |
研究代表者 |
大石 高志 神戸市外国語大学, 外国語学部, 教授 (70347516)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 植民地期インド / 装身品 / 嗜好品 / アジア間貿易 / 模造 / 廉価品 / 中下層民 / 中下層の自立化 / 低価格商品 / 消費 / 装身具 / インド人商人 / インド / ナショナリズム / インド人商人ネットワーク / タバコ / 移民 / 広域商人ネットワーク / 模造性 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、イギリス植民地支配下のインド(1940年代まで)において勃興した装身・装飾品や嗜好品などの低価格商品、特に、腕輪やビーズ、香油、さらにビーディー(タバコ)や蒸留酒などに焦点を当て、その国内市場型商品としての流通実態を同時代の各種統計から数量的に析出して裏付け、その上で、その消費の文脈を、販売促進用広告媒体を含む商家史料などの系統的分析から、特に、当時の既存の正統的上級品や西欧世界からの高価格輸入品との間の「模造性」や「差別化」という社会・文化的な両義的関係性の中で検証する。
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研究成果の概要 |
本研究課題「近代インドにおける装身品と嗜好品:国内市場志向型低価格商品の勃興とその模造的文脈」では、植民地期のインドで主に中下層の人々の自立化もしくは社会経済的な上昇志向に対応する形で需要と消費が増大した低価格消費財、特に装身品や嗜好品に焦点を当てながら、同時代の社会変動を読み解く作業を行った。特に、それらの低価格商品(日本からの低価格帯の輸入品も中核的な商品群として含まれる)が、従来の在来の高価品や西欧からの高額な輸入品との間に帯同した差異性や模造性を析出することで、そうした中下層の人々が有した文化的伝統やナショナリズムとの間の両義的な関係性や反エリート主義を分析した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
植民地期インドにおいては、新たな就業機会の獲得や小規模な蓄財・土地保有などにより、低カーストや農業労働者の中に社会経済的な上昇志向や自立化が生じたことが指摘されてきたが、そうした社会変動に伴う拮抗や確執が最も具体的な形で顕著になったのが、装身品などを筆頭とする消費財の商品群であった。中下層の人々の新しい消費が、既存の社会的規範や文化的表象との間に、どのように反発を喚起したり、折り合いを付けて調整されたりしたかを分析することは、社会変動の本質的な部分を学術的に理解することになる。また、社会変動と消費の接続性に関するこうした分析は、現在のインドに延長的に適用することも可能な現代性も有している。
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