研究課題/領域番号 |
20K01029
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分03030:アジア史およびアフリカ史関連
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研究機関 | 関西大学 |
研究代表者 |
宮嶋 純子 関西大学, 東西学術研究所, 非常勤研究員 (80612621)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | ベトナム仏教史 / 仏典刊行史 / 東アジア仏教史 / ベトナム仏教 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、20世紀以前にベトナムで刊行された漢文仏教典籍を手がかりとして、近世・近代東アジア地域における仏典刊行史及び仏教文化交流史の実態を解明を目指す。 本研究の遂行にあたり特に重点を置くのは、ベトナムを中心とする東アジア諸地域の研究機関・寺院における資料調査である。初めに、ベトナムの研究機関や諸寺院が所蔵する関連資料の調査を実施し、ベトナムにおける仏典刊行史の解明を進める。次に、ベトナム刊行仏典と、中国・朝鮮・日本における同種の典籍との比較研究を行う。 以上の作業を通じて、ベトナム刊行仏典の学術的価値を明らかにし、新たな東アジア仏教史研究の可能性を提示することが本研究の最終的な目標である。
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研究実績の概要 |
本課題は、20世紀以前にベトナムで刊行された漢文仏教典籍を手がかりとして、近世・近代東アジア地域における仏典刊行史及び仏教文化交流史の実態を解明することを目的とする。2022年度は、国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(A)・課題番号19KK0298)による在外研究の実施のため本課題を中断した。 2023年度は本課題を再開し、主として同年7月~12月にベトナム・ハノイに滞在してベトナム北部地域の仏教史料に関する文献収集及び寺廟調査を行った。このうち、2023年8月10日~16日には、ベトナム社会科学院文化研究院チュー・スアン・ザオ氏及びタンロン大学チャン・ヴァン・クェン氏と共同で、タイビン省ケオ寺とナムディン省ケオ寺、またその両寺院の周辺地域の寺廟調査を行い、所蔵碑文・神勅・典籍資料等を収集した。特にタイビン省のケオ寺では、住持ティック・タイン・クアン師が収集された漢文典籍約50部を実見し、紅河デルタ下流域における典籍刊行及びその流通の実態を考察する手がかりを得た。本調査における収集資料の概要については、2023年12月22日に関西大学東西学術研究所研究例会にて、「ベトナム紅河デルタ地域の村落と寺院」として報告した。 また、2023年11月3日にハノイ国家大学で開催された国際シンポジウム「日越国交関係:過去・現在・未来」に参加し、ポスター発表「永厳寺清亨(1840~1936)の仏典刊行と日本近代大蔵経」を行った。これは、先にバクザン省ボーダー寺で収集した典籍資料等に基づき、明治期に日本で刊行された活字大蔵経が、当時ハノイに置かれていたフランス極東学院を通じてベトナムに輸入され、これら日本の大蔵経を底本として当時の学僧永厳寺清亨が新たな仏教典籍を刊行した経緯を紹介したものである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
これまでハノイを中心とするベトナム北部地域で実施した寺廟調査により、幾つかの寺院で所蔵典籍を調査収集(主に写真撮影による)したが、これらの内容分析や比較検討に時間を要しており、成果報告の準備が滞っている。そのため、(3)やや遅れていると評価した。
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今後の研究の推進方策 |
前年度に引き続き、ベトナム北部における寺院の実地調査を通じて、近世期ベトナムで刊行された仏教典籍や経典版木の所蔵状況に関する情報の収集を行うと共に、これまでの調査で収集した資料の整理と成果報告に注力する。 また、ベトナム南部ビンディン省タップタップ寺に中国明代に南方で刊行された万暦版大蔵経が所蔵されていることが2023年に明らかにされており、可能であれば実見するなど、ベトナム中・南部地域や、また中国・韓国に所蔵された典籍資料にも注目し、近世近代東アジア仏教典籍刊行史の包括的な把握を目指したい
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