研究課題/領域番号 |
20K01033
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分03040:ヨーロッパ史およびアメリカ史関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
長谷川 まゆ帆 東京大学, 大学院総合文化研究科, 名誉教授 (60192697)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
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キーワード | 啓蒙 / 感情包摂 / 他者 / エクリ / オーラル / フランス / 18世紀 / 女性 / 女性作家 / 書簡 / オーラルとエクリ / ロレーヌ / 感情 / 小説、戯作 / 歴史叙述 / 公共性 / 意思決定 / 書簡体小説 / グラフィニ夫人 / インカ帝国 / フランス近世史 / 女性史 / 読書 |
研究開始時の研究の概要 |
この時代は、モンテスキューの『ペルシャ人の手紙』のみならず多くの書物が書簡形式で書かれており、私的領域の営みであるはずの「書簡」の一人称的な語りが、公共空間 のなかにあふれかえっていく時代である。それは手書きの書簡が書き写されて回覧され、やがて出版へと至ると同時に、実話であるとして語られる虚構の物語が、実話として流通す始める時代でもある。本研究では、こうしたフィクション世界の出現によって、とりわけ女性の叙述をの出現によって、<虚-実>、<私-公>の境界が曖昧になっていくことを明らかにし、啓蒙期の複雑な運動を明らかにし、それによって、過去と現代をその共通性と隔たりのなかで照らしていく予定である。
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研究成果の概要 |
18世紀半ばにベストセラー作家となったグラフィニ―夫人の叙述を対象に、女の叙述が生み出した新しい叙述や感性を探り、オーラルとエクリの狭間に揺れ動く感情の動きや表現のしかたを考察した。この時代は書簡体小説が流行したことで知られるが、グラフィニー夫人もまた書簡体小説を書き、男友達に宛てて2000通を超える私的書簡を残している。彼女にとって書くことは自身の感情を語り、伝えることであり、それが作家としての創造性の原動力になっていることを考察した。既発表の成果(2020年)では、彼女のオーラルとエクリがどのように出会い、創造へとつながっていったかを考察した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
啓蒙期の女性作家は、自分の感情や判断を直截に語り、表現するのに長けていたが、それはオーラルとエクリが影響を及ぼしあっていたからでもある。一方、現代ではインターネットの普及が人々のコミュニケーション回路を再び変えつつある。しかし声や身体を伴うオーラルなコミュニケーションは、エクリの浸透と広がりによって消えたわけではなく、インターネットの時代にも形を変えて影響を及ぼしている。印刷革命のもたらした近世期の社会変化を声や身体との関りを通じて考察することにより、現代社会の変化を改めて問い直し、よりよく理解していくヒントが得られる。
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