研究課題/領域番号 |
20K01093
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分03050:考古学関連
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
中西 裕見子 九州大学, 比較社会文化研究院, 共同研究者 (10845754)
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研究分担者 |
菅 浩伸 九州大学, 比較社会文化研究院, 教授 (20294390)
片桐 千亜紀 九州大学, 比較社会文化研究院, 共同研究者 (70804730)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2020年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 第二次世界大戦 / 太平洋 / 水中文化遺産 / 潜水調査 / 文献資料調査 / 保護体制の検討 / 戦跡水中文化遺産 / 環太平洋地域 / 文化遺産保護 / 平和教育 |
研究開始時の研究の概要 |
世界的に有名なミクロネシア連邦チューク諸島に沈む第二次世界大戦期の水中文化遺産の概要調査を実施し保護対象を検討する。その成果共有を通じ、環太平洋地域の水中戦争遺跡の保護と平和教育への活用をめざす。 戦争関連水中文化遺産について、全てを保存し続けるのは現実的には不可能であろう。そこでまず必要となるのは保護対象の候補となる沈没船等をリストアップして概要調査を行い、その結果、学術的見地から重要な保護対象 にするべきものを抽出することである。将来的には、その選定された水中文化遺産に対して詳細調査を実施し、記録し、日本の第二次世界大戦を考える上での学術的評価を加え、保護のための仕組みをつくることをめざす。
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研究実績の概要 |
令和2・3年度に続き4年度も新型コロナウイルス感染症に起因する海外渡航制限が長引き、チューク諸島での第二次世界大戦にかかる水中文化遺産の潜水調査は実施できなかった。現地で継続的に調査を実施している研究者や研究機関、現地在住ダイビングサービス等とコンタクトをとり、現地の状況について情報収集を行った。また、研究分担者等とも打ち合わせし、研究計画の修正を検討した。その結果、チューク諸島(ミクロネシア連邦)への入国が困難で、研究プロジェクト期間中に研究を完了できるタイムスケジュールで現地調査に着手することは不可能と判断した。チューク諸島同様に多数の第二次世界大戦にかかる水中文化遺産を有するグアム島に、現地調査対象地を変更した。上半期は現地の研究者、行政機関の文化財担当者とオンラインミーティング等での調整、資料収集を行い、9月に潜水調査の実施に至った。 グアムでは、戦跡水中文化遺産が多く所在するアプラ湾で、民間から徴用された輸送船の東海丸と、99式艦上爆撃機を対象に潜水調査を行った。99式艦上爆撃機については、写真測量をもとにした3Dモデルを試作し、研究分担者等及び現地研究者等と検討を重ねており、令和5年1月に研究発表を行った。 また、戦没した船と海員の資料館、防衛研究所史料室での調査、米軍関係資料のオンラインアーカイブ調査を実施した。その過程で、米軍関係資料の中から戦没した船と海員の資料館が捜索中の資料を見つけたため、館に情報提供を行った。 一方で国内における環太平洋の第二次世界大戦の水中文化遺産である沖縄県所在のUSSエモンズについて、令和3年度に多くの調査成果を講演会や論文発表という形で公表したことに対しての反響が大きく、多くの海外研究者等から反応があった。そのうち、所有者である米海軍を始めとする戦跡水中文化遺産の海外専門家らと、今後の研究連携に向けての打ち合わせ行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
令和2年度、3年度に引き続き令和4年度も新型コロナウイルス感染症に起因する海外渡航制限が長引き、チューク諸島(ミクロネシア連邦)への入国が困難で、研究プロジェクト期間中に研究を完了できるタイムスケジュールで現地調査に着手することは不可能と判断した。そのため現地調査対象地を変更するという、研究計画の変更があったため、進捗が計画よりやや遅れている。本研究プロジェクトの目的を完遂するため、チューク諸島同様に多数の第二次世界大戦にかかる水中文化遺産を有するグアム島を、令和4年度の潜水調査の対象地とした。上半期は現地の研究者、行政機関の文化財担当者とオンラインミーティングやメールで調整をしながら、資料収集や潜水準調査の準備を行い、9月に潜水調査の実施に至った。 日本国内では、昨年度に引き続き、第二次世界大戦に徴用された輸送船の資料を多数有する、戦没した船と海員の資料館、及び防衛研究所史料室での調査、米軍関係資料についてオンラインでアーカイブ調査を実施した。これは今後も継続する計画である。
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今後の研究の推進方策 |
現地での状況に詳しい研究者や研究機関等とコンタクトを取り、現地調査に向けての情報収集、調査準備を継続してきたが、令和4年度当初の時点でのミクロネシア連邦政府の新型コロナウイルス感染症対策の方針から、現状では現地で効率的な調査を実施することは難しいと判断し、グアム島に調査対象地を変更して現地調査を実施した、令和5年度も、グアム島での現地潜水調査を継続実施する、また国内での関連水中文化遺産調査を計画する。調査最終年度にあたるため、その成果を取りまとめ公表する準備を進める。 環太平洋地域の第二次世界大戦にかかる水中文化遺産保護の仕組みづくりを目指すため、地元ダイバーや民間潜水教育団体、及び地元自治体と共に普及啓発活動を行うモデルケースとして、沖縄海域の屋良部沖海底遺跡において令和3年度に創設したスペシャルティダイバーコースの事例についてフォローアップ活動を行いながら、当該研究プロジェクトの対象である第二次世界大戦関連水中文化遺産でも保護と適切で持続可能な観光利用の後押しを進めるための方法論について検討を重ねる。
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