研究課題/領域番号 |
20K01127
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分03070:博物館学関連
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研究機関 | 岡山理科大学 |
研究代表者 |
東馬 哲雄 (大井哲雄) 岡山理科大学, 自然フィールドワークセンター, 准教授 (10376527)
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研究分担者 |
池田 博 東京大学, 総合研究博物館, 准教授 (30299177)
邑田 仁 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 客員共同研究員 (90134452)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 早川植物研究所 / 齋藤四郎治 / 早川佐七 / 植物標本 / プラントハンター |
研究開始時の研究の概要 |
東京大学植物標本室には、早川佐七が1924年に設立した「早川植物研究所」の採集専門員(プラントハンター)らが、大正後期~昭和初期に国内各地から採集した植物標本が相当数存在する。これらの標本は採集当時のままの未整理状態にあるが、約100年前の国内の地域植物相を直接把握できる貴重な資料である。本研究ではこれらの標本を活用して、研究の表舞台とは一線を画した「早川植物研究所」の設立・活動実態を明らかにする他、屋久島と日本アルプスからの標本に焦点をあて、当時の植物相を証拠標本に基づいて集約・分析、現在に至る植物相の変遷を明らかにし、学術研究に資する生物多様性情報としてデータベース公開を行う。
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研究実績の概要 |
昨年度全ページスキャンした画像を元に、齋藤四郎治の植物採集旅行報告等を精査しているが、手書きかつ昭和初期の文章のため、詳細を読み解くことに時間を要しているが、本研究当初、標本に基づいて把握を試みてきた斎藤の採集活動の概要を把握することができた。最近の資料では、斎藤の研究所入所は「大正十二年三月」とされていたが、それは前職を退職した年月であり、入所年月は「大正十二年八月」であることが明らかとなった。また、入所直後の東北地方調査報告に付記された「希望事項」からは、斎藤自らは「植物採集員」とするも正式な肩書がなかったこと、また当初「早川植物研究所」という名称はなかったようで名称案を提案しており、標本に押された刻印「HERBARIUM HAJACAVA TOKYO 1924」との整合性がとれた。なお、「大正十四年八月」の報告より「早川植物研究所」と記されている。その他にも、報告では採集活動の実施状況に加えて、植物採取に対する考え方、標本作成等々について記されており、「早川植物研究所」の体制づくりに斎藤の貢献があったことが推察された。斎藤自身の採集活動の概要を見ると、初年度は東北地方に留まるも、大正十三年は四国九州、西多摩、北海道、日光尾瀬、伊豆、台湾、大正十四年は山陰・紀伊・伊勢、北九州、北海道・千島列島、五島列島・天草、大正十五年は台湾、北海道、朝鮮、北アルプス、東北地方(山形・秋田)、四国、九州、昭和二年は台湾・中国地方、南アルプス、奥羽地方、薩南諸島、昭和三年は台湾、紀伊・伊勢、択捉、薩摩・天草、昭和四年は九州・四国、利尻・樺太、台湾、そして昭和五年の屋久島、済州島が最後となっており、自由に研究をしたいと研究所を退所したことが明らかとなった。「早川植物研究所」の実体を把握するための資料としては、齋藤の植物採集旅行報告以外にはないと思われる。
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