研究課題/領域番号 |
20K01185
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分04030:文化人類学および民俗学関連
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
諏訪 淳一郎 弘前大学, 国際連携本部, 准教授 (40336904)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 音楽 / メラネシア / バヌアツ / 女性 / 身体 / ディアスポラ・コミュニティ / 芸能 / 文化人類学 / ジェンダー / 音響 / 水圏 / オセアニア / 島嶼 / 水 / 音響認識論 |
研究開始時の研究の概要 |
バヌアツ共和国の村落に伝承されるウォーター・ミュー ジックについて、現地女性たちが演者となる過程や上演の場に生起するミクロな社会的相互作用に焦点を置いた参与観察を実施し、これを民族誌的研究によって解明する。ウォーター・ミュージックとは、海などに下半身をつけた状態で、上肢を使って水面をうち敲いて演じるバヌアツの在来音楽であり、自然環境下に存在する水を音具に用いる点で、 文化資源として極めてまれな特徴を有している。また、メラネシ アでは珍しく、この音楽は女性の間にのみ上演が許されている。そこで、現地におけるジェンダーの実践について参与観察から、この希少な音楽文化の実態について明らかにする。
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研究成果の概要 |
バヌアツ・ルガンヴィル市近郊では女性のみに伝承が許された「ウォーターミュージック」が上演されている。ウォーターミュージックはバヌアツ北部に位置するバンクス諸島の一部の島々で女性が水浴する際に周囲に注意を喚起するために出す独特の音がもとになって、都市部に一住してきた住民によって歌や振付が加えられて伝統芸能化したパフォーマンスである。メラネシアでは女性を担い手とした在来音楽や芸能は少数派であるが、ウォーター・ミュージックの事例は女性たちが積極的に参与することによって、移住者のコミュニティの中で社会的に自立した存在として振る舞っており、共同体の持続可能性に大きく寄与していることが明らかとなった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
従来の研究では、オセアニアの女性たちが音楽芸能の担い手となる事例を見つけることが容易ではなかった。それは伝統的な価値観が、音楽や舞踊などの表現について、おもに男性による儀礼等の文化行為に結び付けて実践されていたからであった。しかし、このウォーター・ミュージックはメラネシアのバヌアツにおいて女性が音楽芸能における主体的役割を果たすことが分かった。すなわち、ある一定の社会文化的条件においては、これらの地域社会においても女性による音楽芸能が産出するということを明らかにしたのであり、そうした新たなメラネシアの文化的文脈においては、今後ますます女性による活動が盛んになることが予想できた。
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