研究課題/領域番号 |
20K01476
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分06010:政治学関連
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
砂原 庸介 神戸大学, 法学研究科, 教授 (40549680)
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研究分担者 |
秦 正樹 京都府立大学, 公共政策学部, 准教授 (10792567)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | 地方議会 / 選挙制度 / 政党 / 地方政治 / 中央地方関係 / 政府間関係 / 住民投票 / 単記非移譲式投票 / 実験 / 直接民主制 |
研究開始時の研究の概要 |
日本の基礎自治体では,議会の大選挙区制・単記非移譲式投票という特殊な選挙制度から,民主政治であるにもかかわらず政党間競争が起こりにくい。これまでの日本の地方政治については,政党が一定の存在感を持っていた都道府県や政令指定都市を中心に分析が行われてきたが,数が多く規模が多様ということもあって基礎自治体の分析は不十分である。本研究では,政党間競争ではない政治競争として,個別的利益を志向する議員間の競争,政党内競争,住民投票を背景とする議会外との競争という3つのパターンの競争に注目し,実験やテキスト分析など近年発展しつつある新たな方法を用いて基礎自治体の政治競争を分析することを狙う。
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研究実績の概要 |
三年目となる2022年度には、地方自治体同士が互いに激しく競争・競合する日本の地方政治の現状について、その「分裂した意思決定」を生み出す原因として政治制度があることを論じる著書『領域を超えない民主主義-地方政治における競争と民意』を東京大学出版会から出版した。本書では、地方政府内の二元代表制と地方議会の選挙制度、地方政府を越える政党の不在と強い長の存在、そして集権・分散的な財政システムのために、特に大都市圏内での地方自治体が、激しい競争を引き起こしてしまうことを議論している。分析の対象としたのは、都道府県と県庁所在市の関係、伝統的な港湾都市の発展、そして日本以外の国々も含めた大都市圏域の比較である。この分析を通じて、都市圏での意思決定の統合が困難で「分裂した意思決定」を余儀なくされる状況で、都市の発展が阻害される可能性があることを示した。 さらに本書では、現代の有権者へのサーベイ実験を実施したほか、平成の大合併における住民投票と2010年代の大阪の政治過程を検討することで、地域での意思の統合が期待される住民投票も、それを通じて多様で一貫しない民意が動員されることで、地方レベルでの「分裂した意思決定」を深刻にしてしまうことを示した。これらの分析から、地方において意思決定を統合する主体でありうる政党が機能していないことの問題点を論じた。このような問題点を踏まえて、現在の地方政治制度においてどのような改革が考えられるか、またその際の困難は何かを論じた小論を「領域を超えない民主主義の未来」として『UP』に寄稿した。 書籍の出版に加えて、これまでに実施してきた地方議会レベルでの自民党の分極化について論じた英文の論文を、ブルネル大学で実施した国際ワークショップで報告した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画していた通り、研究期間中にこれまでの研究をまとめた単著を上梓することができたのは重要な成果であり、研究活動がおおむね順調に進展していると評価できる。
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今後の研究の推進方策 |
本来3年の予定の研究計画であったが、1年延長することで、これまでに実施した研究を基礎として英文成果をまとめ、国際学会での報告や国際ジャーナルへの投稿を予定している。
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