研究課題/領域番号 |
20K01580
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07020:経済学説および経済思想関連
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研究機関 | 法政大学 |
研究代表者 |
原 伸子 法政大学, その他部局等, 名誉教授 (00136417)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | フェミニズム / ジェンダー / 家族手当キャンペーン / 家族手当論争 / エレノア・ラスボーン / ジェンダー平等 / 家族手当 / 福祉国家 / 労働者階級家族 / 子ども / 男性稼ぎ主家族 / シングルマザー / 労働者家族 / 児童労働 / 人的資本論 / 女性運動 / 公私二分法 / イギリス |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の目的は、20世紀初頭イギリスにおけるジェンダー平等をめぐる論争を整理・検討して、そこで提起された論点が福祉国家の起源を形作る所以を明らかにするとともに、現代における家族政策とジェンダー平等の問題に対する示唆を導き出すことである。焦点となるのは、母性とジェンダー平等との関係である。20世紀初頭のイギリスでは、一方で女性参政権運動が行われ、他方では、母性にもとづくラスボーンの家族手当運動が登場した。両者はジェンダー平等と公私二分法の関係を問うものである。本計画では当該研究目的遂行のために、イギリスにおける文献調査とともに、現代の家族政策の注目すべき事例としてドイツの調査を行う。
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研究成果の概要 |
本研究の課題は、20世紀初頭のイギリスにおけるフェミニスト運動と労働者階級の女性たちの思想を研究することによって、彼女たちが労働者としての自立と母性の狭間におかれていたことを明らかにすることである。この観点は、ジェンダー平等思想と公私二分法との関係と問うことであり、これまでの研究では十分に検討されていなかった点である。またそれは同時に、19世紀から20世紀初頭にかけての「効率性の時代」(G.R. Searle, 1971)におけるフェミニスト運動を「遠くの鏡」としながら、現代のグローバリゼーションと福祉国家の変容を映し出すことである。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
20世紀初頭のイギリスは、1908年老齢年金法にはじまる「リベラル・リフォーム」の時代であり、まさに福祉国家の勃興期であった。そして、そこで展開されたフェミニズムによるジェンダー平等をめぐる運動は、女性参政権運動、労働市場における男女平等賃金、そして国家に家族手当を求める家族手当キャンペーンなど公私にわたる平等論を展開することによって、20世紀初頭のまさに「女性の平等概念の再定式化」を導くとともに、女性が直面した「ウルストンクラフトのジレンマ」を明らかにした。以上の福祉国家勃興期の労働者階級女性のおかれた立場は、女性の労働市場進出が格段に進展した現代おいても同様である。
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