研究課題/領域番号 |
20K01586
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07030:経済統計関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
下津 克己 東京大学, 大学院経済学研究科(経済学部), 教授 (50547510)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2020年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 識別 / 内生的二値説明変数 / 操作変数 / 共変量 / 計量経済学 / 内生性 |
研究開始時の研究の概要 |
This research project will achieve two main goals. First, we show that the regression function is nonparametrically identified if one binary instrument variable and one binary covariate are present. Second, we develop a nonparametric estimation method of the identified model.
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研究実績の概要 |
経済学の実証研究において、二値説明変数が誤分類されて記録されることは、自己申告による学歴や、自己申告による職業訓練への参加などでしばしば見られる。例えば、Black et al. (2013, Journal of the American Statistical Association)の調査では、アメリカの1990年国勢調査で専門職学位を所持していると報告した人の66%だけが本当に専門職学位を持っていることが明らかとなった。 本研究は、内生的な二値説明変数が誤分類されている計量経済モデルにおける識別問題と推定問題を研究する。特に、操作変数が内生的二値説明変数の測定誤差と相関しているモデルを、共変量を利用して識別する可能性を追求する。 既存研究は、内生的な二値説明変数が誤分類されているモデルを、二値説明変数の測定誤差から独立である操作変数を用いて識別している。これらの研究では、操作変数は外生性と二値説明変数の測定誤差から独立という二つの除外制約を満たす必要がある。 しかしながら、実証研究においては、これらの除外制約を満たす操作変数を見つけることは容易ではない。特に、内生的な二値説明変数が自己申告された変数である場合には、虚偽の申告を行う動機が操作変数の影響を受ける可能性があるため、操作変数と二値説明変数の測定誤差が相関する可能性がある。 本研究は2021年度に、内生的二値説明変数が誤分類されている計量経済モデルを、一つの二値操作変数と一つの二値共変量を用いてノンパラメトリックに識別できることを証明し、証明された識別法を実際のモデルにおいてどのように適用するか、特にどのような操作変数と共変量を使うことが可能であるかを検討した。本年度は、2021年度にノンパラメトリックに識別可能であることが証明されたモデルをノンパラメトリックに推定するアルゴリズムを検討した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2022年度は、2021年度にノンパラメトリックに識別可能であることが証明されたモデルをノンパラメトリックに推定し統計的推測を行うアルゴリズムを検討した。
ノンパラメトリック推定には、カーネル法・sieve法などの方法があるが、本研究では説明変数・操作変数・共変量が二値をとる離散変数であり、モデルの他の説明変数は連続分布を持つことが多いため、連続分布を持つ変数と離散分布を持つ変数の両方を扱うことのできるノンパラメトリック推定手法が必要となる。本年度は、現存する種々の手法をコンピュータ・シミュレーションで比較検討したが、実証研究において想定する状況が多岐にわたるため、多くの状況で最善となる手法はまだ発見できていない。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、2022年度から継続して、2021年度にノンパラメトリックに識別可能であることが証明されたモデルをノンパラメトリックに推定し統計的推測を行うアルゴリズムを、現存する種々の手法をコンピュータ・シミュレーションで比較検討することにより開発する。
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