研究課題
基盤研究(C)
・健康の社会経済的要因は一様ではない。勤労者世帯において、家事・育児、家族介護、互助、就労など多くの役割に直面する女性と市場労働中心の男性の間において、互助が健康に与える効果の差は小さくないと考えられる。・本研究は、人々の働き方や居住地域の医療サービス供給体制と関連が大きい互助や通院が主観的健康感に与える効果を金銭評価する。社会的孤立と精神的不健康の関係を精査し、変数間の内生性に留意して、互助および通院の主観的健康感に対する効果を分析する。・計測した金銭評価額に基づいて、社会経済的要因に起因する健康格差の是正策を地域の実情に合う形で検討する。
本研究の目的は、全国の縦断データを用いて家庭内無償労働配分の変更や通院が主観的健康感に与える効果を調べて、社会経済的要因に起因する健康格差の是正策を検討することである。第一に、中年女性の無償労働の家庭内配分に留意し、東大「壮年パネル調査」 (JLPS-M) を用いて日本人成年男女の健康損失を金銭評価した。第二に、厚生労働省「中高年者縦断調査」を用いて、外来受診が患者の主観的健康感に及ぼす影響を調べ、高血圧患者の健康に対する受診の因果効果を評価した。
本研究は、これまでの国内外の研究の延長線上で新たな知見を与えた。パネルデータ分析の結果に基づいて、(1) 有業女性の健康を維持して生活満足度の低下を避けるためには、高いレベルの仕事と家庭の葛藤を解消しようと家事労働を夫が分担することが肝要であることを示し、(2) 糖尿病、低学歴、喫煙習慣のある高血圧患者に対して、連続した受診を促すことが必要であることを明らかにした。ほとんどの国において高血圧患者の血圧管理率は低いことが観察されており、高血圧患者の血圧コントロールを強化して通院の効果を高めるうえで、上記の知見は有用と思われる。
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