研究課題/領域番号 |
20K01779
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07060:金融およびファイナンス関連
|
研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
小倉 義明 早稲田大学, 政治経済学術院, 教授 (70423043)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
|
キーワード | 地域金融 / 銀行合併 / 構造推定 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では国内30万社の中小企業の財務パネルデータとそれに接続された取引銀行支店情報、およびそれらの所在地の地理情報を用いて、各地域の融資市場の需要関数と供給関数を構造推定する。この推定に基づいて、地域金融機関の経営統合が銀行の融資行動、リスクテイク、銀行と顧客の利益を合計した経済厚生、および地域における企業の資源配分・参入退出に与える影響を計測する。広域型統合と域内型統合の比較も行う。
|
研究実績の概要 |
前年度までに用意した大阪府における中小企業の財務と取引先金融機関支店情報を接続したデータを用いて、企業の資金需要関数と銀行側の資金供給関数を推定した。銀行の合併は、もっぱら資金供給関数に影響するとの想定の下、合併が供給関数を介して均衡貸出金利に与える影響を計測した。まだ推定モデルの当てはまりの度合いが低く、改善の余地が大いにあるものの、現時点では、主に合併に伴うコスト効率性の向上(経費率の低下と資金調達コストの低下)が供給力を拡大する方向に作用し、銀行合併がないとの仮想的状況と比べて、わずかながら均衡金利を押し下げ、融資量を増加させ、結果として利用者の経済厚生を向上させたとの結果を得た。しかし、資金需要の金利弾力性が1よりも小さいため(現時点での推定値は0.8程度)、銀行の収益は低下したと推定された。金利低下効果は、地銀の合併と比べて、信用金庫合併では弱く、したがって後者の合併では、利用企業の経済厚生はさほど増加しなかったとの推定結果を得た。なお、合併時にしばしば懸念される競争制限的効果は現時点での推定ではかなり弱いと見られる。これは推定対象とした大阪府での合併が最大手の銀行ではなく、その他の銀行が最大手に規模の面で近づくタイプの合併であったことが影響していると推測される。現在、推定モデルの精度を上げる作業中であり、これが完了した後に成果をワーキングペーパーとして公表する予定である。 なお、中小企業向け融資市場に関する分析として、日本政策金融公庫が実施している無担保融資が中小企業による無形資産投資を促進したことを実証する研究を実施し、成果を国際学会で報告した。
|