研究課題/領域番号 |
20K01785
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07060:金融およびファイナンス関連
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研究機関 | 関西学院大学 |
研究代表者 |
堀 敬一 関西学院大学, 経済学部, 教授 (50273561)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | 企業金融 / 流動性 / コーポレートガバナンス / 株式市場 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の核心をなす「問い」は、様々な流動性指標を計算し、その統計的特性を明らかにすることである。また流動性の様々な指標の中で、どの指標が経営者と投資家との間の情報の非対称性の程度を強く反映するのか、明らかにする。 本研究では2018年の改訂版コーポレートガバナンス・コードで強調された、持ち合い解消や社外取締役の活用が、流動性に与えた影響を実証的に検証する。具体的にはvoiceにより企業価値が向上したのか、あるいは流動性の向上という経路を通じてコーポレートガバナンス改革が企業価値の向上に寄与したか、どちらの効果が相対的に強かったのかを実証的に検討する。
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研究実績の概要 |
2019年において流動性の指標の1つである回転率と総資産額で測った企業規模との間に正の相関関係があることを発見した。この成果を企業の現金保有の問題に応用して、青野幸平氏(立命館大学)との共同研究「Stock Price Reactions to Corporate Cash Holdings in Mitigating Predictable and Unpredictable Negative Shocks」に反映させた。この論文は2023年にPacific-Basin Finance Journalに公刊予定である。 この論文では、日本企業の財務データを用いて、キャッシュが企業にとって予測可能な、あるいは予測不可能なキャッシュフローの不利なショックをどのように緩和するのかについて検討した。その結果、(i)現金は株価にプラスの影響を与え、その影響は予測可能なショックの前には株価に十分に反映されること、(ii)予測できないショックの後には、財務的制約のある企業の現金の価値は制約のない企業のそれよりも大きいこと、(iii)制約のない企業では現金の価値は二つのショック間で同様であるが、予測できないショックでは制約のある企業の価値は予測したショックよりも大きくなること、がわかった。 ここで消費増税前後と、新型コロナウイルスの前後で企業規模が超過収益率に与えた影響が異なっている。消費増税の前後で規模が大きな企業ほど超過収益率が低いのは、株式の回転率が高いために流動性プレミアムが低くなることが影響していることが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究成果の一部を国際的な査読付き学術雑誌に公刊された論文に反映させることができたため。
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今後の研究の推進方策 |
コーポレートガバナンスの改革が、上場株式の流動性に与えた影響の直接的な分析は完結していない。しかしこの数年で、新型コロナウイルスによるパンデミックで市場を巡る環境が大きく変化したことと、東京証券取引所の改革で市場区分が変更になったことにより、分析の枠組みを見直す必要が生じてきた。こうした問題点を解決したうえで、未解決の問題に取り組む予定である。
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