研究課題/領域番号 |
20K02000
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07090:商学関連
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研究機関 | 明治大学 |
研究代表者 |
福田 康典 明治大学, 商学部, 専任教授 (90386417)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
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キーワード | 消費者情報 / マーケティング・リサーチ / 情報倫理 / 使用文脈情報 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、製品やサービスの使用文脈に関する情報フローが消費者に及ぼす肯定的な影響と否定的な影響を統合的に分析し、その適切な管理を実現するような研究基盤を構築することを目的としている。これを達成するため、前半の2年間は、使用文脈情報フローの多層性とその影響を理解するための研究枠組みづくりを行う。後半の2年間は、構築した研究枠組みに基づきながら、多層的フローの適切な管理を行うための枠組みを構築するとともに、こうしたフローと管理の日本的特性を理解するために国際比較を行う。消費者情報のフローはメリットを持つ一方で問題をも引き起こす。本研究は、人々のQOLを高めるフローの実現に資することを目指している。
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研究実績の概要 |
令和四年度は、新型コロナウィルスによる影響がかなり落ち着いたため、昨年度から延期していたヒアリング調査やインタビュー調査などを含め、概念的枠組みとそれに基づく仮説構築の作業を進めてきた。 具体的な内容としては、以下の2点である。一つは、多層的情報フローにおける消費者の情報提供実態の把握を目的としたプロトコール調査の実施とその成果の報告である。プロトコール調査とは、指定されたタスクの実施においてその動作中に自分が何をしているかや何を考えているかを口頭データとして収集する方法であり、今回は消費者がスマートフォンアプリを選択する際に行う情報提供にこれを適用した。現在のプライバシーに関する法体系は、消費者が購買行動において製品やサービスの購入に同意する際に同時に自分の個人情報の提供にも同意しているという前提を置き、それに基づいて消費者に情報フローの法的責任を持たせている。しかし、本調査の結果、まさにこうした前提が実際の情報提供を十分に反映していない点が確認された。 また、消費者の情報提供シーンは購買行動だけでなく製品使用時にも生じるため、もう一つの調査としてウェアラブル製品の利用とプライバシー意識の関係をインタビュー形式で調査しその結果を報告した。今回は、身体機能の補助・補完というかなりプライバシー度の高い状況に着目し、AI人工物が提供する価値とその代償という枠組みを置いて、情報フローの発生に対する消費者側の心理を探った。 これら2つの研究は、共に、個人の状況に合わせた高度なサービス提供(=パーソナライズドサービス)に必要な情報フローの多層性を肯定的側面と否定的側面から同時に概念化するために多くの示唆をもたらしていると考えらえる。得られた知見の詳細は、これまでの本補助事業で得られた知見とともに、3本の論文、6回の学会発表、1本の叢書(編著)を通じて公表されている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新型コロナウィルスによる影響により、特に対面型や対話型のデータ収集の部分が延期を余儀なくされていたが、本年度はこうした非構造的なインタビューが実施可能であったため、遅れを取り戻すことができた。ただし、令和四年度前半は、海外渡航等にまだ若干の制約が残っていたため、海外研究者との意見交換や共同作業は十分に進んでいない。とはいえ、次年度実施を予定している定量調査の準備は整ってきており、おおむね順調であると考えられる
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今後の研究の推進方策 |
消費者側からの情報フローに関する研究は、新型コロナウィルス感染拡大による研究の遅れをかなり取り戻せているが、企業側(消費者へ向けた情報フローを生み出している側)の研究についてはまだあまり遅れを取り戻せていない(研究を目的とした企業訪問については本年度9月あたりまで断られることが多かったため)。また、先述の通り、海外渡航についても年度前半にはまだ若干の制約があり(これは新型コロナウィルスだけでなくウクライナ侵攻など国際状況全般を理由としている)、遅れている部分が残っている。 今後はこうした点をカバーするとともに、これまでの研究知見に基づく形での定量的調査を通じて、情報フローの多層性に関する分析枠組みと管理枠組みの構築という目的に向けて、分析作業を進めていく予定である。
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