研究課題/領域番号 |
20K02016
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07100:会計学関連
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研究機関 | 亜細亜大学 |
研究代表者 |
鈴木 智大 亜細亜大学, 経営学部, 准教授 (50609021)
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研究分担者 |
積 惟美 亜細亜大学, 経営学部, 講師 (50824223)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 包括利益 / 当期利益 / その他の包括利益 / 借入金利子率 / 価値関連性 / 利益属性 / 当期純利益 / 純利益 / リサイクリング / 未実現損益 / 公正価値 / 経済的帰結 |
研究開始時の研究の概要 |
日本における包括利益の制度開示が開始されてから約10年が経過し、一定のデータが蓄積されてきたことから、その経済的帰結を多角的に検討することが本研究の目的である。未実現損益を反映した包括利益情報は、株式投資家にとって有用であるかがこれまでの中心的な論点であったが、この論点に加え、債権者や経営者といった他のステークホルダーの観点からもその経済的帰結を検証していく。
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研究実績の概要 |
本年度は、1本目の研究であるその他包括利益が借入金利子率に与える影響について、査読者のコメントに対応するために、データベースを新たに購入して、修正分析を行った。分析の結果、その他包括利益のボラティリティの増加(リスクの増加)が倒産確率を統計的に有意に高めるわけではないにもかかわらず、借入金利子率は統計的に有意に上昇するというものであった。米国の先行研究とも異なり、理論的にも整合しない結果であるため、この結果を説明するために追加的分析を実施した。1つはマクロ経済環境の影響である。分析期間にはリーマン・ショックの影響が強く出ている期間があるため、期間を区切って分析を行ったが、一貫した結果が得られなかった。もう1つは銀行との関係性である。メインバンク制は崩壊したと言われているが、企業と銀行の結びつきは世界的に見て非常に強いという特徴がある。そこで、借入金依存度をもとにサンプルを分けて分析をしたところ、依存度が強いとき、利子率が高まることを発見した。銀行の交渉力が強い場合、倒産確率が有意に上昇していない環境下でも、利率の上昇が求められるという解釈である。なお、その他包括利益を個々の要素に分解して分析を行ったが、一貫した結果が得られなかった。上記分析結果を整理して、修正稿を作成し、来年度に再投稿を行う予定である。 2本目の包括利益およびその他包括利益の価値関連性については、分析結果とその解釈について共同研究者と議論を行い、投稿先を定め、論文を書き始めた。 3本目の包括利益およびその他包括利益の利益属性については、分析に必要な変数を作成し、パイロット分析を実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本年度は前年度に投稿した「その他包括利益が借入金利子率に与える影響」に対する査読者のコメントに対応するために、新たにデータベースを購入し、修正分析を実施した。修正分析に必要な変数はデータが膨大であり、収集だけでなく、分析に用いる変数を作成するための処理に非常に時間がかかったことが主な要因である。その結果、ほとんどの時間がこの修正分析に取られてしまい、他の研究をあまり進めることができなかった。 こうした状況を受けて、研究期間を1年間延長させていただいたことから、「4.遅れている」と評価した。
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今後の研究の推進方策 |
計画から遅れているため、現在進めている3本の実証研究を論文にまとめて、投稿を行っていくことを最優先に作業を進めていく予定である。想定以上に時間のかかっている1本目の「その他包括利益が借入金利子率に与える影響」は夏季休業前までに修正稿を作成し再投稿を行う。夏季休業は2本目の「包括利益およびその他包括利益の価値関連性」を仕上げて投稿するとともに、3本目の「包括利益およびその他包括利益の利益属性」の分析を行う。いずれも査読コメントによっては、投稿先を変更し、成果を出していく。なお、リサイクリングの研究は時間の関係から見送る予定である。
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