研究課題/領域番号 |
20K02059
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分08010:社会学関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
永吉 希久子 東京大学, 社会科学研究所, 准教授 (50609782)
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研究分担者 |
田辺 俊介 早稲田大学, 文学学術院, 教授 (30451876)
瀧川 裕貴 東京大学, 文学部, 准教授 (60456340)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2020年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | 偏見 / 規範 / 韓国人 / IAT / 潜在的偏見 / 顕在的偏見 / 排外意識 / SNS / 民族関係 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は韓国・中国出身者に対する排外意識の高揚が生じたメカニズムについて、「韓国・中国出身者に対する潜在的偏見を背景に、その抑制/正当化にかかわる要因が変化し、偏見が表出されるようになった結果、排外意識の高揚が生じた」というモデルをたて、その妥当性を検証する。このため、心理学で発展してきたImplicit Association Testによって潜在的偏見の測定と表出された偏見との比較を行い、両者が区別可能か検証する。つぎに偏見の表出の例としてTwitterでの排外的ツイートの拡散行動に着目し、その発生条件を明らかにする。最後に、それらの発生条件の影響を実験的社会調査によって検証する。
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研究成果の概要 |
本研究では、近年の韓国人に対する排外意識の高まりについて、偏見の抑制-正当化モデルの枠組みから検証した。具体的には、Implicit Association Testを用いた韓国人に対する潜在的偏見の測定と、その顕在化のメカニズムについてのサーベイ実験を実施した。オンラインモニターに対する調査の結果、韓国人に対して相対的に高い水準の潜在的偏見が社会に存在することが示された。また、潜在的偏見が低くとも顕在的偏見が高いという意識のパターンが確認され、韓国人に対する否定的態度を望ましいとする規範が存在することが示唆された。さらに、こうした規範は他者の行動や法規制によって影響を受けることも示された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究では、韓国人に対する潜在的/顕在的偏見を測定し、両者の関連を検証することで、否定的態度が望ましいとされる規範が存在する可能性を示した。これは偏見に関する規範は偏見を抑制する方向で働くとする従来の研究の前提を問うものであり、学術的意義がある。また、顕在的偏見が記述的/命令的規範によって変化することを確認したことにより、罰則を伴わないヘイトスピーチ規制や、オンラインニュース等におけるコメントへの一定の規制が、偏見の表明を抑制する機能を持ちうることを示した点は社会的意義がある。
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