研究課題/領域番号 |
20K02155
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分08010:社会学関連
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研究機関 | 静岡大学 |
研究代表者 |
吉田 崇 静岡大学, 人文社会科学部, 教授 (80455774)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | ジェンダー公正 / ジェンダー格差 / 要因配置実験 / 適正所得 / 男女格差 / ヴィネット調査 / 家事分担 / 不平等 |
研究開始時の研究の概要 |
(1)先行研究のサーベイ、(2)社会調査データの分析、(3)ヴィネット調査の実施・分析の3つを行う。1年目は(1)でジェンダー不平等の実証研究とともにヴィネット調査の方法論も整理する。(2)は(a)労働市場および(b)家庭内分業の格差水準を記述する。(a)就業構造基本調査、SSM調査、JLPSを用い所得・就業・昇進格差について、(b)NFRJおよびJLPSを用い家事分担について分析する。 2年目は引き続き(1)(2)を行い(3)を実施する。さまざまな属性をもつ架空就業者(ヴィネット)に対する(a)適正所得と(b)適正家事分担を調査する。 3年目は(2)(3)を統合した分析を行い成果をまとめる。
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研究成果の概要 |
本研究は公私両領域における男女不平等についてジェンダー公正の観点からアプローチすることを試みた。労働市場におけるジェンダー格差を生み出す最大の要因であるキャリア形成について、「社会階層と社会移動全国調査」を用いた職業キャリアの分析を行い、子育て期の就業継続が依然として困難であることを示し、論集の形で一般書に公刊された。さらに、要因配置実験を用いてジェンダー格差が維持される認知構造について分析し、女性が女性就業者の適正所得を低く評価する傾向があること等の結果を学会報告した。私的領域の不平等に関しては、夫婦の家事・育児分担の不平等について分析を行ったが、成果の公表にまでは至っていない。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
女性活躍が推進される中で女性の就業は確実に増えているが、このことが直ちに女性の働きやすさを意味するわけではない。SSM調査の職歴データからは、結婚・出産時の女性の就業継続の困難さが示された。就業中断はその後の昇進および賃金格差に直結するため、労働市場におけるジェンダー格差を縮小するためには、改めて女性のキャリア形成を支援する職場や家庭の変革の必要性が示唆された。一方で、要因配置実験を用いた分析では、男性の方が女性よりも賃金における年功(年齢)の効果を高く見積もることが示された。日本的雇用慣行とも整合的なこの結果から、女性に不利な処遇体系が維持されやすい(変化しにくい)ことが示唆された。
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