研究課題/領域番号 |
20K02341
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分08030:家政学および生活科学関連
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
樋口 智之 弘前大学, 農学生命科学部, 准教授 (80597469)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | アカガイ / ヘム鉄 / 鉄欠乏 / 食品加工 / 調理 / ヘム / 鉄 / 鉄欠乏性貧血 / エリスロクルオリン |
研究開始時の研究の概要 |
我が国では女性を中心とした鉄摂取量が不足しており、効率よく鉄を摂取できる食品の提案が重要である。食品中にはヘム鉄と非ヘム鉄があり、ヘム鉄の腸管吸収率は非ヘム鉄の3~4倍高いので、ヘム鉄含有食品は鉄の効率的摂取に適している。アカガイの鉄含量はシジミやアサリとほぼ同程度で、シジミやアサリは非ヘム鉄なのに対してアカガイはヘム鉄を含有することから、鉄供給食材として有望であると推測される。しかしながら、アカガイのヘム鉄の腸管吸収性や加工による影響についてはこれまで研究されていない。本研究はアカガイが鉄供給食材ひいては鉄欠乏性貧血の改善に資する食品である可能性について明らかにする。
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研究成果の概要 |
アカガイの加工処理によるヘム鉄含量に対する影響を調べた結果、100℃で60分加熱するとヘム鉄が減少し、非ヘム鉄が増加した。また鉄と結合できるEDTAやクエン酸の溶液にアカガイを浸漬させるとヘム鉄含量が低下した。一方、対照に用いたブタレバーのヘム鉄ではこのような現象は認められなかった。鉄欠乏状態のラットに5%アカガイ凍結乾燥粉末を配合した飼料を摂取させると、統計的に有意ではなかったが鉄欠乏状態からの改善傾向が見られた。以上より、アカガイは鉄供給のための食品として有益であるが、加工処理の条件によってはその効果が低減する可能性がある。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
アカガイは脊椎動物と同様に腸管吸収に優れた鉄の形態であるヘム鉄を有する珍しい貝だが、鉄供給食品として注目し、加工処理による影響を調べた研究はなかった。本研究によりアカガイは鉄供給食品として有益である可能性を見出し、長時間で高温の加熱あるいは鉄との結合能を有する食品成分および添加物と共存することによってヘム鉄含量が低下することを初めて明らかにした。またブタのヘム鉄と比較検討することにより、アカガイのヘム鉄はブタに比べて不安定であることも推察される。
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