研究課題/領域番号 |
20K02571
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09020:教育社会学関連
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
岡本 智周 早稲田大学, 文学学術院, 教授 (60318863)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2020年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 共生 / 分断 / 社会意識 / 社会調査 / 学校教育経験 / 共生社会 / 社会認識 / 社会科教育 / 戦後 / 初期社会科 / 世代 / 格差 / 学校知 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、社会意識調査を通して、現在の日本社会に「共生」および「分断」への志向性がどのように構造化しているのか、そこに学校教育での経験と得られた知識・認識がいかに関わるのかを探索するものである。学校教育は社会化の装置であるという点において社会の統合や凝集性を促すものであるが、他方で教育大衆化以降の日本の教育空間はより顕著な選別の場となり、人々の社会意識の懸隔を広める場ともなってきた。「共生」と「分断」への志向性の様態とその背景をみることによって、教育経験を通して伝達される社会統合の論理の社会的帰結を析出することが、本研究の目的である。
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研究実績の概要 |
本研究は、社会意識調査を通して、現在の日本社会に「共生」および「分断」への志向性がどのように構造化しているのか、そこに学校教育での経験と得られた知識・認識がいかに関わるのかを探索している。学校教育は社会化の装置であるという点において社会の統合や凝集性を促すものであるが、他方で教育大衆化以降の日本の教育空間はより顕著な選別の場となり、人びとの社会意識の懸隔を広める場ともなってきた。「共生」と「分断」への志向性の様態とその背景をみることによって、教育経験を通して伝達される社会統合の論理の社会的帰結を析出することが、本研究の目的である。 2023年度は、2月に実施した社会意識調査で得られたデータを用いて、「共生社会」という言葉の日本社会への浸透状況、およびこの言葉の認知の様態と背景を、回答者の教育経験との関連に注目しつつ分析した。また、同様のデザインで実施してきた過去の調査データを用いて、同内容の調査項目の経年変化を分析した。その結果を10月の共生学会第2回大会で報告した。 2023年度の分析から得られた知見は3点に総括される。第1に、「共生社会」という言葉が理解される度合いは、日本社会のなかで全体的には増加傾向にある。また、「共生社会」を理解することは、社会認識の視野を広くもつことと関連する。 第2に、その一方で2019年時点と2023年時点の調査結果を比較すると、「共生社会」という言葉を「意味も知っている」とする回答者の割合は低下し、「聞いたことがない」とする回答者の割合が増加している。「コロナ禍」の時期の前後で、この言葉を理解する者としない者とのあいだの社会認識の差が広がっている。 第3に、「共生社会」の認知は教育経験の多寡によって左右される。加えて、回答者の高校時代の学びや経験との関連をみると、知的好奇心や探究を重視した群において「共生社会」についての認識が高まる傾向が示される。
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