研究課題/領域番号 |
20K02828
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09040:教科教育学および初等中等教育学関連
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研究機関 | 大分大学 |
研究代表者 |
中川 裕之 大分大学, 教育学部, 教授 (00450156)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2020年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
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キーワード | 類推 / 評価 / 想起 / 知識の想起 |
研究開始時の研究の概要 |
新学習指導要領では問題発見が重視されている。発見方法である類推を活用するには適切なベースを想起する必要があるが,このベースの想起に課題があることが指摘されている。そこで,本研究では,ベースの想起や想起したベースの評価を促進する方法を開発することと,ベースを想起する能力の変容を捉える水準を設定することを目的とする。 これらの導出にあたっては,認知科学と数学教育学の研究成果を融合させる理論研究に加えて,調査研究や実験授業を通して質的に分析して有効性を実証することで,すぐにでも日常の学習指導や評価に活用できるツールを学校現場に提供することを目指す。
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研究実績の概要 |
本年度の研究計画は、年度前半において、去年度行った調査からベース想起,評価の促進方法を確定したうえで、事例研究結果を再分析してベースを想起する能力水準を仮設定することであった。また、年度後半では、確定した促進方法を用いて検証する実験授業(附属中学校)を実施し、授業結果の検証から促進方法の妥当性の立証と能力水準の改善をおこなうことであった。 調査の再分析、そして後半での実験授業の結果、次のことを明らかにした。 第一に、解法の捉え方に抽象的な考え方と具体的な方法が含まれる場合があり、その場合には具体的な方法のみを変更して適応が行われること。第二に、関係性に注目して抽象化した解法の捉え方ならば類推の適応性は高くなること。第三に、解法の捉え方を変化させるには、同じ解法で解ける問題カテゴリーに含まれる問題を見直し、問題や解法の共通点に注目すればよいこと。 これらの知見を加えることで、ベースの想起や評価を促進する方法を改善、確定するとともに、評価水準の改善を行った。 これらの研究成果をまとめた論文は、全国規模の学会である日本数学教育学会の第55回秋期研究大会において、論文発表として採択された。また、その論文発表をもとに、日本数学教育学会の数学教育学論究誌にも論文を投稿している。さらに、日本数学教育学会の第10回春期研究大会では、そのような研究成果のもととなった授業実践や調査結果について論文発表を行い、学校現場の先生方に授業実践に役立つ情報提供を行ってきた。このように様々な学会において研究成果の発表を行うこともできている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の研究として計画した内容は大きく四つであった。一つ目は去年度行った調査からベース想起,評価の促進方法を確定すること。二つ目は事例研究結果を再分析してベースを想起する能力水準を仮設定すること。三つ目は確定した促進方法を用いて検証する実験授業(附属中学校)を実施すること。四つ目は授業結果の検証から促進方法の妥当性の立証と能力水準の改善をおこなうこと。 一つ目については調査の内容が変更になったけれども、その調査結果から得られた示唆をもとに促進方法を修正し確定することができた。二つ目については事例研究を行い、その結果を分析することで仮の能力水準を設定することができた。このため、理論的な研究については予定通り遂行することができたと考えている。 二つ目については実験授業を附属中学校で行う予定であったけれども、実際に行えたのは二つだけであった。これはコロナ感染症の影響である。そのため、当初予定してなかった公立学校に授業をお願いすることとした。実際の授業を見学することはできなかったけれども、三つのビデオカメラで録画した授業映像を分析することで三つ目についてもなんとか遂行することができたと考えている。そして、それらの実験授業を分析する四つ目についても新たな示唆が得られ、促進方法や能力水準の改善、確定に至ることができた。 これらのことを総合して、研究はおおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究計画としては次の四つのことを考えている。第一に、調査結果からベースを想起する能力水準を確定すること。第二に、学会,講演,Webサイト等を通して研究成果の発信すること。第三に、促進方法と能力水準を検証する実践授業(公立中学校)を六つ実施すること。第四に、授業結果に基づいて促進方法と能力水準の妥当性を立証することである。 2023年4月より所属する大学が変わったため、これらの研究の環境を再構築する必要がある。まず、附属中学校への協力がこれまでのように得られなくなったため、新たな研究協力校を探す必要がある。次に、これまで研究成果を発信してきたホームページが使えなくなったため、新たなホームページを作成する必要がある。前者については新しい大学の数学教育研究会に協力を要請したり、これまでに共同研究を行ってきた学校現場の先生に研究協力を求めたりする予定である。後者については、新しい業者を探し、新しいホームページの作成を依頼する予定である。 これらの方策によって令和5年度もこれまで変わらず研究を遂行し、最終年度の研究を予定通り遂行する予定である。
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