研究課題/領域番号 |
20K02959
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09050:高等教育学関連
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研究機関 | 独立行政法人大学入試センター |
研究代表者 |
山村 滋 独立行政法人大学入試センター, 研究開発部, 名誉教授 (30212294)
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研究分担者 |
佐藤 智美 東洋英和女学院大学, 人間科学部, 教授 (80240076)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 高等教育進学支援 / 教育の機会均等 / アウトリーチプログラム / 社会経済的弱者 / 英国 / アウトリーチ |
研究開始時の研究の概要 |
高等教育機会の格差是正は、多くの国々で重要な政策課題のひとつである。本研究は、高等教育の機会自体に恵まれてこなかった低所得層を対象とした格差是正のための多種多様な取り組みが、大学等により行われている英国を対象とし、その意義・限界・課題を明らかにすることを目的とする。その際、単に「教育の機会均等理念の実現」といった一面的な見方ではなく、グローバル経済に対応した人材養成の必要性、緊縮財政下での効率性、高等教育の市場化政策下での競争の効果および悪影響とその克服の可能性としての組織間の連携・協働等の多元的評価軸をもって目的を追究するとともに、わが国の格差是正策のための示唆を得る。
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研究実績の概要 |
本年度は以下のような研究を行った。 1997年に公表され、その後の20年間の包括的な学習社会のビジョンを示したいわゆる「デアリング報告」の勧告のひとつは、高等教育機関が「進学機会の拡大」に貢献することであった。そこで1997年以降の高等教育進学支援政策の展開と大学の対応を分析した。この政策への各大学の応答は、大別して①財政面、②アウトリーチ活動がある。 ①に関しては、大学独自の給付金・奨学金がある。給付金・奨学金の提供自体は望ましいが、威信の高い大学への低所得層の出身者は相対的に威信の高くない大学に比べて少ないことから、学生が受け取る財政援助の額はどこで学ぶかによって異なり、経済的必要性に基づいているとは必ずしもいえないという問題点が指摘できる。 ②は、公正機会局とその後継の学生局の主導の下に進められた。各大学は「高等教育進学機会・参加計画」を作成し、高等教育機会の拡大を進めなければならないとされている。例えば、ラッセルグループの一員であり、人口比において比率の少ない人々に対して、早くから高等教育進学機会を保障することに取り組んできた大学のひとつであるバーミンガム大学では、「バーミンガム大学への道(P2B)」というプログラムを実施している。このプログラムの参加資格は、バーミンガム大学が認めたP2Bのパートナースクールに在籍し、社会的養護もしくは高等教育進学率が低い地域や家庭の収入が一定額以下などの条件に当てはまる第12学年・13学年の生徒である。同プログラムはウェスト・ミッドランズ地域居住者向けの「専門職への道」「バーミンガム大学への進学」など5つのプログラム、およびウェスト・ミッドランズ以外に住む者を対象とした「サマースクール」から構成されている。参加者は、たとえば「医学に関する専門職への道」の場合、32%が医学を学ぶ道に進む(2018年)などの結果が出ている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
コロナ禍のため、英国での現地調査が実施できなかったため。
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今後の研究の推進方策 |
英国ではコロナ規制が解除された。また、日本でも新型コロナウイルスは2023年5月に5類へ移行される。したがって、2023年度には、英国への調査を実施し、感染防止には十分注意を払いながらインターネット等では把握できない情報を収集し、研究課題を解明したい。
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