研究課題/領域番号 |
20K03236
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09080:科学教育関連
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
大木 聖子 慶應義塾大学, 環境情報学部(藤沢), 准教授 (40443337)
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研究分担者 |
宮前 良平 福山市立大学, 都市経営学部, 講師 (20849830)
大門 大朗 京都大学, 防災研究所, 特別研究員(CPD) (20852164)
岩堀 卓弥 慶應義塾大学, 環境情報学部(藤沢), 特別研究員(PD) (50835999)
中野 元太 京都大学, 防災研究所, 助教 (90849192)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 自然災害 / 社会構成主義 / 不確実性 / コミュニケーション / 防災行動 / 災害科学 / 理科教育 / ナラティヴ / 地球システム / 災害 / 論理実証主義 |
研究開始時の研究の概要 |
「いかにして,未来の不確実な事象への対処行動を人に促す『災害科学コミュニケーション』を構築するか」を目的に,以下の2点に取り組む.1)自然災害などの未来の不確実な事象に対して,一般市民が社会構成主義的に意味を獲得することが,いかにその対処行動を変容させるのかを定性的・定量的に測定して明らかにする.この過程において,2)専門家コミュニティに内在する「正しさ」を伝えることを目的としてきたサイエンス・コミュニケーションやリスク・コミュニケーションがどのように再構成されるのかを明らかにし,災害科学コミュニケーションを確立する.
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研究実績の概要 |
令和5年度は,前年度に開発した防災実動訓練を複数の学校やたんちょう釧路空港,災害報道に携わるアナウンサーを対象に実施した.また,「防災小説」については,同じ発災時刻で様々なステークホルダーに執筆してもらい,さらにそれを不特定多数に公開して朗読するイベントを実施した.以下にそれぞれの実績概要を記す. 防災実動訓練においては,「発災することの意味を構成主義的に捉えているか」に焦点を当て,訓練中の参加者の行動のほか,実施後のヒアリングを定期的に追跡する形で実施した.その結果,参加した個々人の意識変容が長期間にわたって持続していること,その多くが行動変容に至っていることが明らかになった.一方で,その個人が参加をしていない他の同僚に影響力を与えることは困難であることも分かった.このことは,防災実動訓練が組織の防災対策に影響力をもたらすためには,組織の構成員がまとまって参加する必要があることを示している. 「防災小説」については,2023年9月15日16時15分に首都直下地震が発生したという設定で,埼玉県内の中学3年生・都内公立中学校の教員・都立病院救急センターの看護師・首都圏の保育園経営者・災害報道アナウンサー・都内に親族のいる高知県の市民に執筆してもらい,それぞれが朗読した.会場には不特定多数となる100名以上が訪れ,また,インターネットでもライブ配信されて,300名近い人が聴講した.これらの聴講者にアンケートを実施して詳細に分析をしたところ,執筆していなくても自分と環境の近い人の「防災小説」から災害時を自分のこととして捉えていることが分かった.このことは上記の防災実動訓練の限界を補う効果があることを示唆している.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
社会構成主義と災害科学の関わりは概ね明らかになってきたが,これと論理実証主義に基づいたコミュニケーションとの相違点や,既存のサイエンス・コミュニケーションから相対的にどのように位置づけられるかについて議論を深めたい.
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今後の研究の推進方策 |
災害科学において,社会構成主義的に理解することの重要性が明らかになってきたことを踏まえて,論理実証主義に基づいたコミュニケーション,特に,既存のサイエンス・コミュニケーションとの相違点について明らかにする.
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