研究課題/領域番号 |
20K03264
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09080:科学教育関連
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研究機関 | 佐世保工業高等専門学校 |
研究代表者 |
川崎 仁晴 佐世保工業高等専門学校, 電気電子工学科, 教授 (10253494)
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研究分担者 |
高田 英治 富山高等専門学校, その他部局等, 教授 (00270885)
吉木 宏之 鶴岡工業高等専門学校, その他部局等, 教授 (00300525)
須田 義昭 佐世保工業高等専門学校, その他部局等, 特命教授 (20124141)
出口 米和 群馬工業高等専門学校, 物質工学科, 教授 (20300535)
河野 晋 有明工業高等専門学校, 創造工学科, 教授 (30270375)
上野 崇寿 大分工業高等専門学校, 電気電子工学科, 准教授 (30508867)
高比良 秀彰 佐世保工業高等専門学校, 電気電子工学科, 准教授 (80249896)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 異常天候の予測 / 大気電界変化 / 地表電位変化 / 地震 / 災害教育 / 防災 / 教育装置 / 電位計測 |
研究開始時の研究の概要 |
大地震や落雷、ゲリラ豪雨等の災害は、人体やインフラなどに物理的な被害を与えるだけでなく、子どもの精神的な成長にも悪影響を及ぼすため、対策は急務である。地球と電離層の間は、電気的なコンデンサとして働くため、地震前に大気電界変動を起こすことが知られている。我々は簡易的で安価な地震予知システムを考案し、地震による電位変動を捉えてきた。この計測時に、地震以外にも天候変化、特に降雨と落雷前後に大きな電位変化が生じることがわかった。本申請では、簡易地震予知システムを豪雨や雷をもたらす積乱雲の検知にも使える装置に改造し、その効果を検証するとともに子どもたちが自然災害を正しく学習する教育システムを開発する。
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研究実績の概要 |
(1)地表面電位計測装置を作製し、佐世保高専(長崎県・佐世保市)、同装置を石川高専(石川県・津幡町)、富山高専(富山県・射水市)、有明高専(福岡県・大牟田市)、大分高専(大分県・大分市)、群馬高専(群馬県・高崎市)、鶴岡高専(山形県・鶴岡市)、釧路高専(北海道・釧路市)及び崇城大学(熊本県・熊本市)に設置し、大気中のイオンに起因する大気電界や空地電流を継続的にモニターした。この結果以下のことが分かった。①地震前には、正の方向への優位な電位変化がある。これは、大地の剪断応力によって発生したイオンによるものと考えられる。②落雷や大雨をもたらす積乱雲の接近でも、電位変化が起こる。落雷時には電位は負になることがある。③降雪時には負の方向への電位変化が起こる。 (2)石川高専における計測結果から、震度3以上の地震(7回)のうち、電位が+mV以上である時間が地震前に10時間以上あった件数は5回であることが分かった。よって、地震が起こるとき、高い確率で電位変化が起こる事が分かる。ところが、電位が+10mV以上である時間が地震前に10時間以上あった件数は、22回であるため、地震が起こる確率は23%と低い値であった。電位変化のパターンからどのような気象変動が起こるかは確実には分からなかった。電位変化は災害の必要条件ではあるが、十分条件ではないため、確実な予測には単純には利用できないことが分かった。 (3)地震の時の地面の応力を模擬した、石の剪断(こすり合わせ)でも同じような電位変化が起こった。このことは、地震を学習する装置として利用できる可能性があることを示す。 (4)計測データと気象データ(地震、雨、雪等)の関係を解析し、研究成果の一部をプラズマ核融合学会全国大会等で発表し、さらに電気学会誌に投稿し掲載された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では、地表面電位計測装置を複数台作製し、石川高専と佐世保高専に設置し計測を開始した。その結果からある程度有益な成果が得られた。しかしながら、全国の高専・大学のうち10地点への設置の了解は得られたものの、新型コロナウイルス感染拡大等の影響で設置完了はできていない。今後は、コロナ禍が収まった後にできるだけ早急に了解が得られた全国の高専等に地表面電位計測装置を設置し、同時計測を進める予定である。また、これらの変化は、地震や降雨時前の積乱雲の接近で起こるが、電位変化のパターンからどのような気象変動が起こるかは確実には分からなかった。また、電位変化は災害の必要条件ではあるが、十分条件ではないため、確実な予測には単純には利用できない。 また、地震の時の地面の応力を模擬した、石の剪断(こすり合わせ)でも同じような電位変化が起こった。これを利用した簡単な装置をくみ上げることで、地震や豪雨、豪雪、落雷を学習する装置として利用できる可能性があることが分かった。
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今後の研究の推進方策 |
計測結果から、①地震前には、正の方向への優位な電位変化がある。これは、大地の剪断応力によって発生したイオンによるものと考えられる。②落雷や大雨をもたらす積乱雲の接近でも、電位変化が起こる。落雷時には電位は負になることがある。③降雪時には負の方向への電位変化が起こる。 これらの変化は、地震や降雨時前の積乱雲の接近で起こるが、電位変化のパターンからどのような気象変動が起こるかは確実には分からなかった。また、電位変化は災害の必要条件ではあるが、十分条件ではないため、確実な予測には単純には利用できない。今後は、電位変化のパターンや計測装置の形状変化を工夫することと、これらのデータを多く蓄積し、AI等でパターン解析することによって、予測装置としての精度を上げられるか、検討していく。 また、地震の時の地面の応力を模擬した、石の剪断(こすり合わせ)でも同じような電位変化が起こった。この結果を利用すると簡単な装置をくみ上げることで、地震や豪雨、豪雪、落雷を学習する装置として利用できる可能性がある。このような学習装置への応用はこれまでまだ行われていない。次年度以降はこの学習装置としての応用を進めていきたい。
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