研究課題/領域番号 |
20K03294
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分10010:社会心理学関連
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
池田 浩 九州大学, 人間環境学研究院, 准教授 (80454700)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | シニア / セキュアーベース・リーダーシップ / 心理的安全性 / ワークモチベーション / インクルーシブ・リーダーシップ / 真正性 / 包摂性 / 心理的障壁 / 社会情緒的選択性理論 / ワーク・モチベーション / サーバント・リーダーシップ / 人事制度 |
研究開始時の研究の概要 |
我が国はかつてない高齢化社会を迎え、労働人口の確保が喫緊の課題となっている。その解決策として、「シニア層」に注目が集まっているものの、シニアによっては意欲が低く個人差が大きいという問題を抱えており、そのマネジメントに苦慮している組織も多い。シニアの意欲と積極性を拒み、その個人差を説明する要因として、単なる加齢ではなく、シニアの心に潜む「心理的障壁」たる概念を新たに提唱する。本研究では、心理的障壁の概念と測定尺度を確立し、心理的障壁の発生機序を解明しながら、組織現場においてシニアの心理的障壁を克服するためのマネジメントを検討することで実践的な示唆を提供することを目指す。
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研究実績の概要 |
本研究では、シニアのモチベーションの個人差を説明する概念として、加齢ではなく、新たに「心理的障壁」たる概念を提唱する。そのために、①心理的障壁の概念と測定尺度の確立、②心理的障壁の発生機序の解明、③組織現場においてシニアの心理的障壁を克服するためのリーダーシップの検討に注力することで、実践的な示唆を提供することを目指していく。 2022年度は、組織現場においてシニアの心理的障壁を克服するためのリーダーシップとして、リーダーがメンバーに対して安心感と安全性を与える“セキュアベース(安全基地)”となり、そしてそれによって未来に向けた挑戦的行動を促すセキュアベース・リーダーシップに着目した。シニアが、心理的障壁を克服していくためには、失敗に対する不安を和らげる「安心感と安全性」が必要であり、それと同時に新規課題や学習にも取り組むことを促す「挑戦」の機能も不可欠である。この「安全・安全」と「挑戦・探索」の2つの機能を兼ね備えたセキュアーベース・リーダーシップは、シニアの心理的障壁を克服するだけでなく、昨今の組織に大きな可能性を持つ理論であると考えられる。 3つの企業に質問紙調査を実施し、107チーム(合計847名)から回答を得た。そしてCoombe (2010)によるセキュアーベース・リーダーシップの枠組みを基に、チームの心理的安全性とチームパフォーマンスとの関連性を検討した結果、セキュアーベース・リーダーシップは心理的安全性とチームパフォーマンスのうち新規課題への取り組みと正の関連性を持つ効果を確認した。この研究生は、2022年度に学会大会で発表し、それと併せて学術論文として公表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2022年度も、夏と冬に直面した大規模な感染拡大により、組織現場への訪問や研究活動が十分できず、計画に支障が生じて、進捗もやや遅れている。2023年から徐々にコロナによる種々の規制や感染対策も緩和されているため、最終年度にこれまでの遅れを取り戻すべく研究計画を遂行して、同時に最終年度として研究成果のまとめを行う予定である。
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今後の研究の推進方策 |
コロナ禍の2021年度と2022年度はシニアの心理的障壁を克服するリーダーシップについて検討を重ねてきた。最終年度である2023年度は、シニア労働者の「心理的障壁」とリーダーシップとの関連性について、大規模な調査を実施し、仮説を検証していく予定である。 また2022年度に、本研究の成果を発表すべく国際学会にエントリーし、採択の通知を受けていたが、コロナ感染ならびに国際情勢なども考慮して、国際学会の参加を見送った。2023年度は、コロナの影響も世界的に緩和されてきたため、夏に国際学会で研究成果を発表予定である。さらに、本研究課題に関わる研究成果をまとめ、論文として投稿する予定である。それらを踏まえて、本研究課題のまとめを行っていく。
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