研究課題/領域番号 |
20K03312
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分10010:社会心理学関連
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研究機関 | 東北福祉大学 |
研究代表者 |
吉田 綾乃 東北福祉大学, 総合福祉学部, 教授 (10367576)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 分断 / 共感 / ワーキングメモリ / 社会的認知 / 認知的共感 / 感情的共感 / 注意制御 / 集団間感情 / 分断社会 / 実行注意 / マインドセット / 自動的処理 / 統制的処理 |
研究開始時の研究の概要 |
今日、国際社会は「分断」という社会問題に直面している。社会の分断に対抗する心理メカニズムとして「共感」を伴う連帯を築くことの重要性が指摘されている。しかしながら、近年の社会心理学研究は、共感を増大させるメカニズムそのものに外集団の排斥を強化する側面があることを明らかにした。異質な他者に対する共感や利他性を引き起こすことは容易ではない。そこで本研究では、ワーキングメモリキャパシティの観点から、異なる背景を持つ他者への共感を引き起こす自動的・統制的情報処理過程を解明することを通して、分断社会を乗り越えるための方略を見出すことを目指す。
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研究成果の概要 |
本研究より、援助を必要とする人物が引き起こす否定的感情を制御する力が向社会的行動の生起において重要であること、認知能力が高い者ほど集団間共感バイアス(外集団より内集団に共感し援助を行う)を引き起こすこと、外集団成員回避目標が活性化した場合は、認知能力が高い者ほど外集団への援助政策を支持しないことが示された。さらに、外集団脅威状況において、認知能力が高く認知的共感を行う者ほど外集団への否定的感情が生じにくいことが示された。社会の分断を克服するためには、認知能力の個人差と文脈要因を踏まえて、共感の促進的・抑制的効果を明らかにする必要があることが明らかとなった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
共感研究において社会的文脈から切り離された刺激が使用されているという批判や、共感とワーキングメモリの関連性を検討した研究が不足しているという指摘があった。本研究はこれらの課題を克服するものである。認知能力の高さが、その個人が置かれている状況が活性化する行動目標によって、共感や向社会的行動を促進する方向にも抑制する方向にも機能することを明らかにした点で、分断の生起メカニズムと克服方法に関する理解を深めることに貢献した。
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