研究課題/領域番号 |
20K03314
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分10010:社会心理学関連
|
研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
今井 芳昭 慶應義塾大学, 文学部(三田), 教授 (20192502)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
|
キーワード | 影響力/勢力 / 影響力保持者 / 影響力-認知関係 / 文化差 / 影響力感 / BIS/BAS / 社会的影響力 / 勢力 / 認知 / コントロール感 / 変革性 / リーダーシップ / 影響力 / 認知パターン / リーダー / 説得 / 被説得性 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、影響力を行使する(他者に影響を及ぼす)ことによって認知パターンが変化する現象(例えば、ものごとを抽象的に捉えたり、ステレオタイプ的に認知したりする、あるいは、リスク追求的に判断すること)に注目している。その中でも、影響力を行使することによって、影響力保持者がものごとを変革的に捉えるようになる点に焦点を当てる。変革性とは、因習に捕らわれずに、必要に応じて従来の規準を変更し、新しいものを展開することであり、創造性にもつながる特性である。さらに、日本における影響力保持者の認知パターン変化を把握すると共に、それを活用して、影響力保持者に対する効果的な説得メッセージの作成方法を明らかにする。
|
研究成果の概要 |
本研究は、Keltner et al. (2003)を始めとする影響力-認知の関連性に関する諸理論に基づいて、影響力を行使することが、特定の認知パターン(ポジティブ感情、行動活性システム(BAS)、抽象的解釈、リスキーな意思決定など)を活性化させる現象に注目した。しかしながら、5つの質問紙実験の結果はその現象を支持しなかった。Den Hartog(2004)によれば、日本においては他者に対して主張することが諸外国に比べて相対的に低いことが指摘され、他者に影響を与えることの認識を抑制する文化的傾向が考えられる。欧米圏で見出された影響力-認知の関連性は、日本においては認められない傾向が示唆された。
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究で注目した影響力-認知関係は、影響力保持者(powerholder)の認知的変化に注目している。すなわち、影響力保持者の望むように他者に影響を与えることを繰り返すことによって、影響力保持者が受け手との心理的距離を置こうとしたり、リスキーな判断をしたり、抽象的な認知をしたりすることである。これらのことは欧米圏で確認されてきたが、本研究の日本におけるデータでは支持されず、影響力-認知関係における文化差を指摘する結果となった。さらなる検討は必要であるが、本研究が、日本においては、他者に影響を与えることが必ずしも影響力保持者の認知や判断の変化につながらない可能性を指摘したと言える。
|