研究課題/領域番号 |
20K03354
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分10020:教育心理学関連
|
研究機関 | 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所) |
研究代表者 |
増井 幸恵 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所), 東京都健康長寿医療センター研究所, 研究員 (10415507)
|
研究分担者 |
権藤 恭之 大阪大学, 大学院人間科学研究科, 教授 (40250196)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2020年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
|
キーワード | 老年的超越 / 高齢期 / 加齢変化 / 心理的well-being / 発達 / 縦断研究 / 発達心理学 / 後期高齢者 / 超高齢者 / 幸福感 / 高齢者 / パーソナリティ |
研究開始時の研究の概要 |
高齢期全般における老年的超越の加齢変化を検討するために、70歳群、80歳群、90歳群の4時点9年間の調査結果から検討を行う。そこで、全年齢群の第3波までのデータおよび2019年に収集中の70歳群の第4波調査(79歳時)についてはSONIC研究の既存のデータを用いる。これらに加えて、本課題の申請期間のうち、2020年には80歳群の第4波調査(89歳時)、2021年には90歳群の第4波調査(99歳時)の追跡調査を実施する。申請期間の最終年度の2022年にはこれらのデータを統合し、70歳から99歳までの老年的超越の縦断変化とその関連要因について検討する。
|
研究実績の概要 |
2023年度は2010年(70歳群)、2011年(80歳群)、2012年、2015年、2018年(以上90歳群)にベースライン調査を行った参加者(2023年年齢範囲:82~101歳)の第5波追跡調査を会場招待型調査で実施し、老年的超越などの測定を行った。2023年度の参加者合計は144人(70歳群35人、80歳群90歳群109人)であった。70歳群の第5波追跡調査は2023年度で完了し、参加者数は420人となった。80歳群90歳群については2024年に2023年の未受診者に対して再度リクルートを行い調査を実施する予定である。 一方、3~4年ごとに1~4回の調査で測定された第4波までのデータを用いて、老年的超越尺度合計点の加齢変化を検討した。分析には70歳群、80歳群、90歳群の3,011人のデータを用いた。線形混合効果モデル分析を用いて以下の仮説を検証した: 1.老年超越性は年齢とともに増加する。2.老年超越性の増加の大きさは性別と年齢層によって異なり、これらの効果はコントロール変数で調整した後でも有意である。 混合効果モデルの結果から、教育年数、同居者の有無、健康度自己評価、手段的日常生活動作、精神的健康をコントロールすると、平均的な老年的超越得点は時間の経過とともに増加することが示された。ベースラインでは、女性と高年齢群で老年的超越が有意に高かった。老年的超越の加齢変化の大きさは、年齢に関連し、70歳群では向上、80歳群では安定、90歳群では低下することが示された。これらの結果から、老年的超越の高齢期の広い範囲にわたる加齢変化が明らかになった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本申請課題は老年的超越の70歳代から90歳代までの高齢期の広い範囲での加齢変化つまりは老年的超越の発達を検討するものであった。再延長期間の2024年度までにベースライン調査から約12年間、5回に渡る追跡調査(ベースライン調査も含む)を行い、調査時の年齢範囲は69歳から101歳までをカバーすることができた。 そのうちベースライン調査から第4波調査までの9年間のデータを用いて、高齢期の老年的超越の加齢変化を明らかにすることができた。この研究結果は論文化され、Journal of Adults Development誌に2024年5月6日付でアクセプトされ、現在印刷中となっている。 再延長により第5波調査までのデータを分析することが可能になるため、更に長期にわたる老年的超越の発達傾向が明らかにできるであろう。
|
今後の研究の推進方策 |
再延長により、以下の3点を明らかにしたい。①老年的超越のベースライン調査から第5波調査までの12年間の老年的超越の発達軌跡を明らかにする、②老年的超越の発達傾向についてタイプ分け(向上タイプと向上しないタイプなど)を行い、そのタイプ分けに関連する要因を明らかにする。③70歳群の年齢が80歳を超えた時点でのデータを収集できているため、80歳群の初回調査の値を比較し、老年的超越のコホート差について検討する。
|