研究課題/領域番号 |
20K03450
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分10030:臨床心理学関連
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研究機関 | 埼玉学園大学 (2021-2022) 東京都市大学 (2020) |
研究代表者 |
安崎 文子 埼玉学園大学, 人間学部, 教授 (60738996)
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研究分担者 |
柴崎 光世 明星大学, 心理学部, 教授 (00325135)
桐生 昭吾 東京都市大学, 理工学部, 教授 (00356908)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2023年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2022年度: 130千円 (直接経費: 100千円、間接経費: 30千円)
2021年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2020年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 吃音 / モニタリング障害 / 遅延聴覚フィードバック / 聴覚伝導の左右耳差 / 吃音改善の為のアプリケーション開発 / 語音弁別課題時の事象関連電位成分P300 / 聴覚伝導の左右差 / モニタリング障害としての吃音 / アプリを用いた介入訓練 / 聴覚情報処理障害 / 語音弁別時の事象関連電位 / 吃音の左脳機能不全 / 吃音者の聴覚情報処理障害 / 吃音の重症度別機序 / 吃音の重症度別介入 / 吃音の重症度別重複障害の様相 / 左右別々の遅延時間での聴覚フィードバック / 介入前後の脳機能の評価 |
研究開始時の研究の概要 |
基盤Cでのこれまでの我々の研究から,吃音者では,蝸牛から中脳までの聴覚伝導に遅れと左右の耳での差が認められた。ヒトは自身の話を自分の耳で自己モニターしながら話している。吃音者の発語のタイミングのずれの原因を,聴覚伝導の遅延や左右差による自己モニタリング障害を基盤とした聴覚情報処理障害の階層的な症状と捉え,認知神経心理学的介入研究を行う。重症度別に左右の耳からの音の入力速度や方法を変え,聴覚認知リハビリテーションを行う。脳活動データを用いて介入効果を多角的に検討する。
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研究実績の概要 |
吃音当事者を対象とした聴性脳幹反応(Auditory brainstem response: ABR)検査でのⅠ波~Ⅴ波間の潜時において,左右の耳で有意な差がみられた。そこで,自身の発語を自分の耳で聞く,つまりモニターする際にタイミングのずれが生じることが吃音の機序であると考え,モニタリング障害説を提案した。我々は,この左右の耳での聞こえのずれを解消するアプリケーションSpeech delay 2(SD2)を開発した。このSD2は,自身の声を多少遅らせて聞くことで吃音が改善されると報告されている遅延聴覚フィードバックシステムを改良し,ABRでの左右耳での遅延差をなくしたものである。吃音当事者6名にSD2を用いた介入を1年以上行い,介入前後で吃音検査法の非流暢性頻度を比較した。吃音検査法を用いた非流暢性頻度の差を,吃音検査法の主要課題別とSD2有無を要因とする二要因の被験者内の分散分析にて比較したところ,SD2有無の主効果の要因にのみ有意差が認められ,交互作用は認められなかった。これまでの遅延聴覚フィードバックシステムでは,間延びした話し方になる,自由会話で効果が乏しい等が指摘されてきた。SD2では,課題による差はなく,全例においてその効果が認められた。吃音の機序の一つに,聴覚系の左右の音のずれに伴うモニタリング障害が存在することが確認された可能性が考えられた。更に聴覚モニタリング障害に加え,吃音当事者では,構音障害の重複率が高く,実際に,語音弁別が不良であるとの「聴覚情報処理障害」の訴えが散見した。そこで語音弁別について事象関連電位成分P300による評価と,語音の聞き取りの介入訓練も開始した。介入前の吃音当事者と対照群である流暢者のP300についてデータ収集が終了し,解析中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
介入前の吃音当事者群の事象関連電位成分P300による評価も済み,対照群である流暢群のデータ収集も終了した。吃音当事者に対して,語音聞き取り訓練も進行中である。
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今後の研究の推進方策 |
事象関連電位成分P300を用いて,アプリによる介入訓練と語音の聞き取りの介入訓練に関して,介入前後の比較評価を行う予定である。
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