研究実績の概要 |
最終年度の実施した研究の成果:kを体,Kをk上有限次拡大とする.k上KのGalois閉包をLとしてL/kのGalois群Gが位数2n(nは3以上の整数)の二面体群Dnの場合について,ノルム1トーラス$R_{K/k}^{(1)}(\mathbb{G}_m)$がstably k-rationalかどうかを決定した.Kに対応するGの部分群をHとするとき,Hの可能性としてH=1(すなわちK/kがGalois拡大)のときと,HがGの中心Z(G)とは異なる位数2の群の場合の二通りしかない.H=1の場合はすでに遠藤,宮田によりnが奇数のときstably k-rational,nが偶数のときnot retract k-rationalであることが知られている.Hの位数が2のときについては,遠藤,宮田によりnが奇数のときはstably k-rational,nが2べきのときはnot retract k-rationalであることが知られていたが,それ以外は未解決であった.私は新潟大学の星明考さんとの共同研究で,Hの位数が2でnが2べき以外の偶数のときを解決した.nが4で割って2余るときはstably k-rational,nが4の倍数のときはnot retract k-rationalである.stably k-rationalであることの証明は,character moduleのflabby classが0であることを示すことにより証明した.具体的に同型を作ることによりflabby classが0であることを示した.同じ手法により,nが奇数の場合のstably k-rationalであることの別証明ができた. 研究機関全体を通じて実施した研究の成果:新潟大学の星明考さん,呉工業高専の金井和貴さんとの共同研究で15次以下のノルム1トーラスの場合にハッセノルム原理が成り立つための必要十分条件を決定した.
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