研究課題/領域番号 |
20K03545
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分11010:代数学関連
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研究機関 | 東京都市大学 |
研究代表者 |
服部 新 東京都市大学, 理工学部, 准教授 (10451436)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | Drinfeld保型形式 / 傾斜 / 旧形式 / 円環留数 / 新形式 / 合同 |
研究開始時の研究の概要 |
Drinfeld保型形式とは,楕円保型形式の正標数一変数関数体における類似である.近年,Drinfeld保型形式の傾斜と呼ばれる不変量に関して計算機による数値計算が活発になされ,傾斜の周期性などの新しい現象が次々と観察されている.ところが,Drinfeld保型形式の研究手法はまだ未発達であり,数値計算により予想されているこれらの現象を,理論的に証明することができていない. 本研究では, Drinfeld保型形式の研究にP進幾何に基づく手法を導入し,Drinfeld保型形式の傾斜に見られる諸現象の理論的解明を目指す.
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研究実績の概要 |
本年度は,重さkのDrinfeld尖点形式における傾斜の上界に関する研究を行った. Drinfeld尖点形式とは,正標数の関数体における楕円尖点形式の類似であり,楕円尖点形式に匹敵する深度の数論的性質を持つことが期待されているが,その性質はまだよく分かっていない.楕円尖点形式では自明に従う性質が,Drinfeld尖点形式では未解決問題であることもあり,傾斜の上界もそのような問題の一つである. 傾斜とは素点vでのHecke固有値のv進付値のことで,この値がDrinfeld尖点形式のv進的な性質を司るため,傾斜がどのような値になりうるかを知ることが重要になる. 重さkの楕円尖点形式に対しては新形式・旧形式の理論があり,そこから傾斜の上界がk-1であることが従う.一方,Drinfeld尖点形式に対しては,そのような理論でよいものが見つかっておらず,新しいアイデアが必要になる. 本年度の研究で,Atkin-Lehner対合を用いることで,旧形式でない部分に現れる傾斜が(k-2)/2であることは証明できた.一方で,旧形式の傾斜に対してはGekelerのde Rhamコホモロジーを用いた手法で研究を行ったが,この手法では求める結果が得られなさそうだということが分かった. Drinfeld保型形式の傾斜に関する,前年度に行った研究で,レベル構造付きDrinfeld加群の自己双対を証明したが,そのような自己双対性は一般には期待できない.本年度はその代替物として,D楕円層の行列式が定めるGalois表現とCarlitz指標が結びつくことを示した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナ禍で海外研究者との交流が途絶していたことと,学内委員の業務のため研究に十分なエフォートを割けなかったため.
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今後の研究の推進方策 |
徐々に海外の研究者との研究交流を再開する.また,傾斜の上界についてはGekelerのde Rhamコホモロジーによる手法はいったん放棄し,Boeckleのクリスタルを用いた手法に切り替えて研究を継続する.
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