研究開始時の研究の概要 |
どの二つも互いに素である整数>1の三つ組み(A,B,C)に対し、指数型方程式A^x+B^y=C^zの正の整数解の個数の評価や、特別な場合におけるその解の決定について研究を行う。まず、解の個数についてはその最良評価を得ることを目指す。具体的には『(A,B,C)=(5,3,2),(3,5,2)の場合を除いて方程式は高々二つの解しか持たない』の証明を、I.Pink氏(Debrecen大学)と共同で取り組む。次に、特別な(A,B,C)に対し方程式の解の決定を行う。特に、ピタゴラス数の様な代数関係式を満たす場合や、ベキ剰余理論の応用に適した場合に関して研究を行う。
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研究実績の概要 |
与えられた互いに素な自然数A,B,C>1に対して、指数型方程式A^x+B^y=C^zの自然数解の個数の一般的な最良評価の研究に従事した。いくつかの具体的な(A,B,C)の例を除けば、解の個数は高々一つであるとR.ScottとR.Styerの両氏によって予想されている。本年度は前々年度および前年度に引き続いて、Istvan Pink氏(Debrecen大学)との共同研究を行った。まず、前年度の研究手法の改良と一般化を試み、方程式に解が二つ存在する条件の下で、Cの値がAまたはBに比べて比較的に小さい場合に、多くの有限的な条件を導く事が出来た。その応用として、特殊な条件を満たす(今までに扱われていない)Cたちの各々に対し、有限個のA,Bの組を除けば、予想が成立することを証明することが出来た。この証明は、ディオファントス近似論における有名なThue-Siegel-Rothの定理に依存しているので、結果は実効的ではない、すなわち、例外的な組A,Bの上限評価が出来ない。これに対し、自然数の平方根として表されるいくつかの無理数に対する制限付き有理近似の限界を与える超幾何級数法を利用することで、一部のCについては結果を実効的にすることが出来た。また、これらに合わせて、abc予想を仮定した下での成果もいくつか得ることができた。
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