研究開始時の研究の概要 |
断面曲率の下界性の概念を内在的に備えたアレクサンドロフ空間の幾何・位相を研究する. 主軸は崩壊理論である. 適当な意味のリッチ曲率の下界条件の下, アレクサンドロフ空間の位相を調べる. アレクサンドロフ空間の解析学を深化させ, 距離カレントや(測度)距離空間の微分形式の理論との関係を調べる. また, 適切なスペクトル不変量を定式化し, その極限として距離構造を調べる方法を模索する.
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研究実績の概要 |
当該年度では以下の結果を得た. (1) 福岡大学の江崎氏, 九州大学の数川氏と共同で, グロモフのピラミッドと呼ばれるある種の無限次元空間の研究を行った. ピラミッドの不変量を幾何解析的手法で開発し, それを用いて, ある二つの無限積を区別した. また, ピラミッドあるいは測度距離空間の錘を定義し, 錘の生成空間の収束現象と錘自身の収束現象との関係を明らかにした. (2) 沖縄科学技術大学院大学の柳氏と共同で, 距離空間上の無限大ラプラス方程式のリュービル性を証明した. これは一般に言える事であり, 通常のラプラス方程式との違いが興味深い. (3) 筑波大学の山口氏と大阪大学の藤岡氏との共同で, アレクサンドロフ空間の非崩壊モジュライのリプシッツホモトピー有限性定理の定量版を開発した. 以前は定性版を得ていたが, その進展といえる.
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