研究課題/領域番号 |
20K03636
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分12010:基礎解析学関連
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研究機関 | 和歌山県立医科大学 |
研究代表者 |
田中 晴喜 和歌山県立医科大学, 医学部, 講師 (60648567)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 転送作用素 / 漸近摂動 / 反復関数系 / 漸近分散 / 擬コンパクト / 漸近理論 / 非共形写像 / Hausdorff次元 / Gibbs測度 / 無限グラフ / 準安定系 |
研究開始時の研究の概要 |
非共形(non-conformal)な反復関数系の極限集合の次元はBowen型の等式から直接求めることができる場合が少なく,上からと下からの評価を別々に与えるケースが多い.本研究では,無限グラフを備えた非共形反復関数系の極限集合の次元の推定について,次元の高次漸近展開を与えることによって,より精密な評価をすることを目指す.併せて,力学的特性量(極限集合上のGibbs測度,測度論的エントロピーなど)の漸近挙動,及び,ホール(hole)をもつ摂動グラフ反復関数系の平衡測度の収束性を調べる研究も行う.力学的特性量を導出する際に用いる転送作用素の漸近理論を構築しこれらの問題に適用する.
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研究成果の概要 |
転送作用素の漸近摂動を定式化し,固有値,対応する固有関数,双対作用素の対応する固有ベクトルの漸近展開を与えた.特に,漸近展開の係数を1次の係数から高次の係数へ帰納的に与えていく方法により,固有値の一様スペクトルギャップの条件を必要としない又は弱い条件にできるという特徴がある.応用として,無限有向グラフを備えた非共形(non-conformal)反復関数系から生成される極限集合のHausdorff次元について高次漸近展開を与えた.別の応用として,可算状態をもつopen型の摂動MarkovシステムのGibbs測度の分裂現象も一部得られた.
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
関数を漸近展開することにより,近似値を得ることができるという考え方は,線形作用素の固有値および固有ベクトルにも適用することができる.また,漸近展開を行うためだけであれば,可微分性の条件を緩めることもできる.本研究では,これらを転送作用素の中で定式化し,反復関数系から生成される極限集合のHausdorff次元の近似値を求めることで,その有用性を実証した.今後はランダム化や非自励系版などにも適用し,漸近理論の可能性をさらに広げていくことが期待される.
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