研究課題/領域番号 |
20K03667
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分12010:基礎解析学関連
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
磯崎 洋 立命館大学, 総合科学技術研究機構, プロジェクト研究員 (90111913)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | スペクトル理論 / 散乱理論 / 逆問題 / S行列 / ディリクレーノイマン写像 / 非線形逆散乱 / シュレーディンガー作用素 / シュレーディンガー方程式 / ディリクレーノイマンス写像 / 境界制御法 |
研究開始時の研究の概要 |
非線形波動における特異性の伝播と,離散モデルの連続モデルへの収束を考えることにより,波動方程式の逆散乱問題に関する研究の最先端を推し進めるとともに, 離散と連続の境界領域を開拓する.主要な課題は(1)非線形波動方程式に対する散乱問題において特異性の伝播からリーマン計量を決定する逆問題,(2)格子上の離散化方程式においてメッシュサイズを 0 にした極限によって連続モデルの散乱解が得られることを,ヘルムホルツ方程式の外部境界値問題と周期的離散シュレーディンガー作用素の場合に示すこと,(3)量子グラフにおいて格子点上にデルタ関数型ポテンシャルのキルヒホッフ条件を仮定したときの逆問題である.
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研究実績の概要 |
半空間における弾性波動方程式の定常問題の解の漸近展開を完成した。境界表面のみを這うレーリー波を半空間全体を伝わる実体波と同じ位相によって観測することが中心課題であり、この問題はレーリー波に関する長い間の懸案であった。また半空間の特性として解はある曲面上に特異性をもち、その解析も困難であったが、精密なレゾルベント評価と定常位相の方法を用いた漸近解析により解決した。結果は専門誌に投稿中である。局所的に摂動された周期的格子の上のラプラシアンに関してメッシュサイズを0に近づける極限から連続系に対するシュレーディンガー方程式を導く連続体極限の問題を解決した。結果は学術雑誌に出版された。有限グラフ上のラプラシアンに対してそのスペクトルデータからグラフの構造を決定するゲルファントの問題を解決した。これは離散グラフの研究における如実な結果であり、学術雑誌に掲載の予定である。関連してグラフ上のランダムウオークに関する逆問題を解決し、これも専門誌に掲載予定である。多様体上の非線形波動方程式に関して基盤部分で大きな進展があった。特にペンローズのダイアグラムを用いてミンコフスキー空間をローレンツ多様体にうめこみ波動方程式を考える問題において大きな進展があった。この多様体上のダランベルシャンの本質的自己共役性を示しさらにレゾルベントに対する極限吸収原理を証明して固有関数展開等のスペクトル理論を発展させることができたのは大きな成果である。また非線形波動に関して逆散乱問題の研究を進め逆散乱理論の大枠を定めることにも目途がついた。これらの結果を学術雑誌に発表するための準備を行っている。漸近的なスラブ領域における波動方程式のS行列からスラブ領域を同定する逆問題の研究をスタートさせ、近年中の完成を目指している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナ禍のため対面での研究打ち合わせの会合ができず、支障が出た。研究の主体が国際共同研究であるため実際に向かい合っての長時間にわたる議論が必須なのだがそれができず、E-メールとスカイプ・Zoom による議論のみとなったため、意思の疎通が不十分になって研究が遅滞した。研究課題は大別して3つある。(1)グラフ上のラプラシアンの逆問題については予定以上に急速な進展があり、成果を発表できた。(2)非線形波動に関する逆散乱問題においては基盤部分を固めることができたために今後の発展の見通しがついた。(3)スラブ領域における逆散乱問題の研究は対面による研究打合せができなかったため、進行に遅れがでたが最近になって軌道にのせることができ近年中に完成できる見通しが得られた。
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今後の研究の推進方策 |
コロナ禍も一段落と思われ、出張も自由に行えるような状況になったので、この一年は研究打ち合わせのための出張を頻繁におこなって研究の進展を図る。昨年度末に行った出張により研究遂行の基礎は固められているので今年度中に実質的な発展を図ることが出来る。
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