研究課題/領域番号 |
20K03719
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分12030:数学基礎関連
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
籾原 幸二 熊本大学, 大学院先端科学研究部(理), 准教授 (70613305)
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研究分担者 |
丸田 辰哉 大阪公立大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (80239152)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | アダマール行列 / 強正則グラフ / アソシエーションスキーム / 差集合族 / 自己双対符号 / 歪みアダマール行列 / D-最適性 / 2-交差集合 / 差集合 / 均整アダマール行列 |
研究開始時の研究の概要 |
これまでの研究で,「群の作用」と「ガウス和の計算」を併用した高次元有限射影空間における超平面交差数の計算法を考案してきた. この手法を発展・応用し, 2-交差集合を用いたアダマール行列の既存の幾何学的構成法を高次元化することで, 平方数次均整アダマール行列を組織的に生成する新たな構成法を開発する. また, 申請者の最近の研究で, アソシエーションスキームを通じ, (4×非平方数)次アダマール行列と均整アダマール行列との関係性が明らかになってきた. 本研究では, その関係に基づき, アソシエーションスキームの枠組みの中で, (4×非平方数)次アダマール行列を組織的に構成する手法・理論を確立する.
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研究実績の概要 |
本年度は, 既存の均整アダマール行列を, アソシエーションスキーム等の良いグラフ分解を用いて分解・拡大・結合し, サイズの大きなアダマール行列を構成するための理論的枠組みを構築することであった. 本年度の研究では, Leung-Momihara (2020)で得られた非均整アダマール行列の例を一般化し, 一般の倍率でChen(1997)の均整アダマール行列を拡大するための手法を与えることができた. 現在は, 更なる一般化が可能であるか模索中である. 一方, 本研究手法を応用して, 高い行列式値を持つ(1,-1)-正方行列の構成問題に取り組んだ. 特に, アダマール行列を生成する差集合族から2つのブロックのみを選択し, 構造を修正することで, 高い行列式値を持つ(1,-1)-正方行列の無限族を作ることに成功した. この結果は, 既に須田氏, Xiang氏との共著論文として国際学術誌に採択された. また, Nebe-Viller (2013)によって発見された3元自己双対符号の系列について, その符号が有限体の4乗剰余から得られるある差集合族から作られるアダマール行列によって生成されていることを証明した. また, 符号の長さが60の場合に, 重み60の符号語集合内にさらに非同型なアダマール行列が存在していることを確認した. この結果は, 新谷氏, 原田氏との共著の論文として国際学術誌に採択された. その他, Turyn(1984), Chen(1997), Polhill(2010)によるPaley型のアダマール行列の合成的構成法を, 強正則グラフの構成法として一般化した研究成果について, 国際研究集会にてオンラインで招待講演を行った. また, 明治大学にてアダマール行列とその応用分野で研究している研究者を集め, 須田氏, 佐竹氏とともに研究集会を主催した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の目的は, 既存の均整アダマール行列を, アソシエーションスキーム等の良いグラフ分解を用いて分解・拡大・結合し, サイズの大きなアダマール行列を構成するための理論的枠組みを構築することであった. この部分については, 非均整アダマール行列の例を一般化する形で, 一般の倍率でChen(1997)の均整アダマール行列を拡大できた点で, 研究はおおむね順調に進展しているといえる. しかし, 他の離散構造を併用し, 更なる自由度を持たせた一般化の可能性が十分にあるため, 今後も継続し研究を推進する. 一方で, この研究の流れから, 行列式値の高い新たな(1,-1)-正方行列の無限系列を数多く発見できたことは興味深い結果であると思われる. 特に, 最大行列式値決定問題は未解決問題であり, 今後その研究推進の足掛かりとなる研究成果を得たことは, 非常に意義のあるものと考えられる. これらの観点から, 研究はおおむね順調に進展しているといえる. その他, 今年度, 3本の査読付き論文が国際学術誌に採択され, さらに加えて, 1つの国際研究集会で招待講演を行うことができたという点も強調したい.
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今後の研究の推進方策 |
今年度は, アソシエーションスキームを用いたアダマール行列の構成法については継続して, 研究を推進していく. 特に, 計算機を併用した, 一般化可能な良い例の発見とその構造の解析を通して, 一般化を行い, 未知の位数でアダマール行列の構成を行う.特に, 「重複度」が一定で扱いやすいクラスであるpseudo-cyclicアソシエーションスキームに制限して, 所望のものが得られるための条件を明らかにする. 実際, そのようなアソシエーションスキームに様々なデザインやグラフ構造が付随していることが知られていることから, それらの性質も利用し構成法を模索する. また,「アダマール行列の非同値性の判定のための不変量の導入」を行い, 既存のアダマール行列の非同値性の判定も行う. 特に, 同じ位数のアダマール行列にでも, 差集合族を用いた様々な構成法が知られているため, 群の作用と相性の良い, 計算可能な新たな不変量の導入を行い, 既存の差集合族から得られるアダマール行列に適用する形で研究を推進する. 本研究内容に関して, 少なくとも5つ以上の国内・国際研究集会で研究発表を行う予定としている.
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