研究課題/領域番号 |
20K03828
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分13030:磁性、超伝導および強相関系関連
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
新居 陽一 東北大学, 金属材料研究所, 准教授 (80708488)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
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キーワード | フォノン / 非相反性 / トポロジー / 対称性の破れ / マグノンフォノン結合 / 表面弾性波 / マルチフェロイクス / フォノン角運動量 / 磁気弾性結合 / キラリティ / 非相反科学 |
研究開始時の研究の概要 |
近年の物性物理学では、スピンホール効果、トポロジカル絶縁体、マルチフェロイクスなど、スピン軌道相互作用に由来する質的に新しい電子状態が注目を集めている。なかでも空間反転対称性と時間反転対称性が同時に破れた系で生じる「非相反性」が近年大きな着目を集めている。本研究ではフォノンにおけるスピン軌道相互作用に着目することで、①フォノン非相反性の巨大化および②フォノン非相反性の逆効果(磁化・電気分極などの対称性制御)に挑戦する。これによって音や熱を電気・磁気的に制御するための基礎原理が開拓されフォノンの相対論効果に関する学理が進展する。
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研究成果の概要 |
フォノンの非相反物性に関連して4つの成果を得た。①キラル磁性体MnSiにおいてフォノン版ラシュバ分裂が生じていることを明らかにした。一方、磁場効果は観測されず小さなものであることが分かった。②表面弾性波をもちいて強磁性Niの磁化を選択的に制御できることを明らかにした。③巨大な磁気弾性結合を示すTb2Ti2O7の超音波・磁歪測定から低温の四極子秩序温度よりずっと高温から四極子相関が存在していることを明らかにした。④ナノスケールの人工フォノニック結晶を作成しGHz領域におけるトポロジカル音波状態を実現し、エッジ状態を直接観測した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
数年間大きく発展してきた非相反研究分野であるが、本研究ではフォノンに焦点をあて研究を推し進めることで、主に電子系で発展してきたスピン軌道物性の類似現象が、フォノンにおいても生じていることを明らかにした。特にフォノンによる磁化制御やフォノンバンド分裂などは、対称性の破れと角運動量自由度が結びつくことを示した実験例であり、これを一つの契機としてより多くの新現象開拓へと発展する可能性がある。またトポロジカル表面弾性波の実現は、表面弾性波デバイスや量子トランスデューサなど関連する応用分野へ貢献する可能性もある。
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