研究課題/領域番号 |
20K03993
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分15020:素粒子、原子核、宇宙線および宇宙物理に関連する実験
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研究機関 | 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構 |
研究代表者 |
下川 哲司 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 加速器研究施設, 助教 (30837399)
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研究分担者 |
原田 寛之 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 J-PARCセンター, 副主任研究員 (30601174)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 加速器 / シンクロトロン / 遅い取り出し / 非破壊 / 静電セプタム / ビーム取り出し装置 / ビーム非破壊 |
研究開始時の研究の概要 |
粒子加速器で加速されたビームは、原子核・素粒子実験等の学術研究や放射線がん治療等の医療応用に利用されており、世界中で科学技術の基盤となっている。ビーム取出し方法の一つ「遅い取り出し」では、リング型粒子加速器に貯め込み、周回しながら加速されたビームを広げ、静電セプタムと呼ばれる装置に近づけ、徐々に削りながらビームを取り出す手法である。既存の手法では、境界面でのビーム衝突を原理的に避けることができず、取り出し効率の限界や、装置の損傷や放射化によるビーム出力の制限が生じている。本研究では、これらの制限に革新的なブレイクスルーを与えるため、独自に考案した新たな静電セプタムの開発を目指すものである。
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研究実績の概要 |
本研究では、世界の粒子加速器における遅い取り出し手法を制限しているビーム取り出し境界面でのビームロスの低減を目指し、ビーム非破壊型静電セプタムの開発を行うことを目的としている。 令和4年度は、真空容器内で電子銃から出射される電子ビームの起動を操作用電極で変化させながら始点、中点、終点で電子の軌道を算出し、電場分布の測定を行い、計算モデルの高度化を行う。高度化した計算モデルにより電場分布の最適化を行うことを予定していた。さらに、実用化に向けた製作に関わる技術課題の明確化、電場磁場ハイブリッド型のビーム非破壊型セプタムの可能性の模索を行った。さらに, 原理実証試験機を用いて計算モデルの高度化と装置電極によって生じる電場分布の最適化を目指した。 令和4年度は、昨年度製作した試験機の容器内の真空化や電極、ワイヤースキャナー移動用の駆動系の動作確認と試験からスタートし、測定系の確立、電子銃の調整、電場分布のモデルとの整合性の確認を行い、最終的には、電場によるビーム分離能力の検証を行うことができた。試験機での実験により、電場により非破壊的にビームを分離することが可能であることが確認でき、試験結果を使ってモデルの検証を行った。現在は, モデルの高度化をすすめている。さらに, 作年度に示唆した電場磁場ハイブリッド型のビーム非破壊セプタムの可能性についても模索しており、電場磁場分布の最適化や試験機での試験方法の模索を開始した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
一昨年度完成予定であった真空容器の完成が1年おくれたことによる遅れが試験装置の立ち上げにひびいていた。
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今後の研究の推進方策 |
試験機による電場によるビーム分離能力の検証による電場計算モデルの高度化が可能となった。今後は, 試験機を電場磁場ハイブリッド型に改造し, 電場磁場ハイブリッド型のビーム非破壊型セプタム, 実用化に向けての課題を洗い出していく予定である。
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