研究課題
基盤研究(C)
銀河中に存在する暗黒物質は対消滅・崩壊によって、自然界では未だ観測例のない反重陽子、反ヘリウムを生成する可能性がある。宇宙線反粒子探索実験GAPSでは、大容積のシリコン検出器アレイを用い、反粒子と原子核の形成するエキゾチック原子の崩壊を測定することにより、これらの反粒子の検出を行う。本研究では、GAPSの主観測対象である反重陽子に加えて反ヘリウムの検出のため、粒子識別手法の研究・改良によってGAPSの検出感度を向上させる。太陽活動極小期に南極周回気球による観測を行い、暗黒物質に由来する反重陽子、反ヘリウムの検出を試みる。
WIMP暗黒物質の間接探索を目的として、宇宙線反粒子測定実験GAPSによる反重陽子、反ヘリウム3の検出のための粒子識別手法の研究を行った。反粒子やそのバックグラウンドとなる他の粒子をGAPS測定器内で引き起こす反応パターンから高精度で識別するため、各種の機械学習アルゴリズムを利用した判別手法を開発・評価した。GEANT4シミュレーションで生成した模擬観測データを用い、三次元畳み込みニューラルネットワークと全結合型ニューラルネットワークを組み合わせたモデル、イベント再構成と機械学習を組み合わせたモデルを学習させることで、これまでの解析手法と比較して高いバックグラウンド除去性能を得た。
現在WIMP暗黒物質の探索は、地下からの直接探索や対消滅・崩壊で生じる粒子を利用した間接探索を含めて様々な試みがなされている。しかし、従来の実験ではWIMPとその他のバックグラウンドイベントとの識別が原理的に困難であり、決定的な結果は得られていない。本研究では、GAPS実験によるWIMP由来の宇宙線反粒子の検出を目的として、反粒子と誤認する可能性のあるバックグラウンドを除去するためのデータ解析手法の開発を行い、近年発展の著しい機械学習の応用によって高い識別性能を得た。この手法を2023年度以降に実施予定の南極フライトで得られるデータに適用することで、高感度での反粒子探索を実現できる。
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すべて 国際共同研究 (4件) 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 5件、 査読あり 4件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (6件)
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