研究課題/領域番号 |
20K04005
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分15020:素粒子、原子核、宇宙線および宇宙物理に関連する実験
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研究機関 | 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構 |
研究代表者 |
五十嵐 洋一 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 講師 (50311121)
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研究分担者 |
高橋 智則 大阪大学, 核物理研究センター, 特任研 究員 (80612134)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | DAQ / データ収集 / 粒子線計測 |
研究開始時の研究の概要 |
加速器技術、検出器技術の進歩により、より高速なデータ収集システムが求められている。 興味ある事象を効率良く記録するために検出器信号を論理回路で処理を行いトリガーを生成することで興味ある事象のみを記録するという現在主流の手法では対応できない実験も企画されている。 本研究ではこういった実験に対応するために、検出器信号を連続して計算機に読み込み、並列にプロセスすることで、多数の計算機による事象選別を行い、興味ある事象を選び出して記録するという手法の確立を行い、J-PARC ハドロンホールでの実験に適用可能であることを示すことを目的とする。
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研究実績の概要 |
本年度においては開発してきたストリーム型データ収集システムを実際の検出器システムに適用してデータを読み出す試みを行うことを目標に研究開発を進めた。 システムやソフトウェアの開発を進めることと並行して、実際の検出器に適用するために使用しているライブラリのバージョンやインストール方法の整理しストリーミングデータ収集システムを幾つかの検出器に適用出来るように整備を進めた。 開発においては、プロセス制御の手法を改良し個々のプロセスの状態を把握しやすくした。また、実際の検出器に適用するために実機のフロントエンドエレクトロニクスを読み出すサンプラー、データを決まった時間で切り出すサブタイムフレームビルダ、同じ時間に来た全ての検出器からのデータを集めてひとまとまりにするタイムフレームビルダ、そして基本のトリガープロセスとなるシンチレーションカウンターのコインシデンスをベースにしたオンライントリガーを行うフィルタプログラムの開発を行った。 開発されたデータ収集システムを用いて大阪大学核物理センターのスペクトロメーター Grand Raiden においてトリガーカウンターとドリフトチェンバーから成る検出器システムに対しストリーミングデータ収集を試みた。システムはうまく機能し、今までのトリガーベースのデータ収集システムに対し、およそ 40 倍の速度でデータ収集を行うことが出来た。そしてオンライントリガーフィルタリングによる事象選別もきちんと機能することが確認できた。 また、データ収集に関する国際会議 23rd IEEE Realtime Conference に参加を行い、本研究に関する二本の講演で研究成果の発表を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
実際の検出器に適用し実実験データの収集を行うという目的に対し、大阪大学核物理センターの Grand Raiden 検出器に適用し、データ収集を行うことが出来、良いパフォーマンスを発揮した。この点では、進捗は順調だったといえる。 一方では、データ収集を行うという目的は達したものの、測定を行いたい人が誰でも簡単に使用できるような周辺プログラムの開発や環境、ドキュメントの整備等の面ではまだまだすべきことを残している。また今後いくつかの検出器に適用を検討しており、それらに適用を行うことで、システムとしての問題点の洗い出しや改良を行って行く必要がある。そしてそれらをもって実績とし普及を目指す。こういった部分ではまだ不十分な点を残しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、システムの完成度を高め様々な実験に対応するための開発を行って行く。 システムとしてのデバッグをしやすく、柔軟なコンフィグレーションを行うためのアイデア等を開発、実装していく予定である。例えば全てのプロセスに動作に影響を与えずに横からデータを見るための出力ポートの実装や、最低限のデータ転送機能だけをもった、スケルトンプログラム、使用者が簡単に実験のためのトリガーフィルタをかけるためのフィルタスケルトンや API の整備等を行って行く。 それと並行して、幾つかの検出器における適用のための開発を行い実績を積んでいく予定である。 適用する検出器としては、J-PARC E50 検出器のビーム試験や大阪大学核物理センター LAS 検出器等を予定している。そしてまた量子科学技術研究開発機構放射線医学総合研究所などにおいてもデモンストレーション的に検出器に適用を試みていく予定である。開発と並行して実際の検出器に適用を行って行くことで、問題の洗い出し、デバッグ等を進めシステムとしての完成度を高めていく。そしてそれらを通じてシステムの普及も進めていく予定である。
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