研究課題
基盤研究(C)
加速器技術、検出器技術の進歩により、より高速なデータ収集システムが求められている。興味ある事象を効率良く記録するために検出器信号を論理回路で処理を行いトリガーを生成することで興味ある事象のみを記録するという現在主流の手法では対応できない実験も企画されている。本研究ではこういった実験に対応するために、検出器信号を連続して計算機に読み込み、並列にプロセスすることで、多数の計算機による事象選別を行い、興味ある事象を選び出して記録するという手法の確立を行い、J-PARC ハドロンホールでの実験に適用可能であることを示すことを目的とする。
ネットワークで接続された複数の計算機上の分散処理を行うことでボトルネックを持たない分散処理によるストリーム型データ収集システムの開発を行なった。このデータ収集システムはデータの集中する部分を持たずフロントエンド機器の読み出しから記録まで分散させることが可能でデータ流量に対してスケーラブルである。そしてこのデータ収集システムの上でソフトウェアによるイベント分別処理の実現を行うことが出来た。さらには複数の実際の検出器システムに適用を行い、多彩な粒子線計測において適用可能であることを示すことが出来た。これらにより本研究の目的は達成された。
本研究により検出器試験から加速器実験までの様々なスケールの粒子線測定をデータ収集システムの開発の労力をかけることなく行うことが可能となった。またこのシステムではトリガーをソフトウェアで実現することによりハードウェアのトリガー回路を準備する必要がなくなりよりシンプルにデータを収集することが出来るようになった。さらに高速ネットワークでつながれた複数の計算機を用いて分散処理を行うことで、これまでのシステムに比べ10倍以上の速度でデータを収集できる。これらの特徴により J-PARC における素粒子原子核実験をはじめとする多くの実験において近い将来の粒子線計測実験の遂行が可能となった。
すべて 2024 2023 2022 2021 2020
すべて 雑誌論文 (7件) (うち国際共著 3件、 査読あり 7件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (8件) (うち国際学会 5件)
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research Section A: Accelerators, Spectrometers, Detectors and Associated Equipment
巻: 1058 ページ: 168817-168817
10.1016/j.nima.2023.168817
IEEE Transactions on Nuclear Science
巻: 70 号: 6 ページ: 922-927
10.1109/tns.2023.3262061
Physics Letters B
巻: 843 ページ: 138020-138020
10.1016/j.physletb.2023.138020
Journal of Instrumentation
巻: 18 号: 06 ページ: C06021-C06021
10.1088/1748-0221/18/06/c06021
巻: 68, 8 号: 8 ページ: 1884-1890
10.1109/tns.2021.3086617
巻: 68 号: 8 ページ: 1907-1911
10.1109/tns.2021.3087635
Progress of Theoretical and Experimental Physics
巻: 2021 号: 12 ページ: 1-20
10.1093/ptep/ptab128