研究課題/領域番号 |
20K04105
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分17040:固体地球科学関連
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
市原 寛 名古屋大学, 環境学研究科, 講師 (90553074)
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研究分担者 |
北田 数也 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 超先鋭研究開発部門(超先鋭技術開発プログラム), 主任研究員 (00539786)
多田 訓子 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 海域地震火山部門(火山・地球内部研究センター), 副主任研究員 (00509713)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
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キーワード | UAV / 遠隔探査 / 電場測定 / Magnetotelluric / 火山調査 / 電場観測 / 遠隔調査 / マグネトテルリック / ドローン / 火山島 / 御嶽山 |
研究開始時の研究の概要 |
近年、火山山頂部および火山島などの「観測の空白域」において、ドローンを用いた遠隔観測が注目されている。しかし、深部比抵抗構造の解明に重要な電場観測は難易度が高く研究例はない。本研究は、海底で先行している遠隔電場観測の技術を応用してドローン電場観測を行い、陸上の「観測の空白域」における地下の電気比抵抗構造の解明を可能にすることを目的とする。令和2-3年度はおもに装置の開発を行い、令和3-4年度に検証試験および研究成果の発表を行う計画である。本観測によって得られた知見は、将来的に月および火星等における惑星内部構造解明に向けた探査にも活用可能であると期待される。
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研究実績の概要 |
火山山頂部および火山島は噴火予測や火山活動そのものの理解において重要な観測域であるにも関わらず、アクセスの困難さおよび安全面から「観測の空白域」 であることが多い。特に、ケーブルを展張しての設置が必要となる地球電場は観測が困難となっている。このため、本研究はUAV(ドローン)を用いて電極等の地表設置を行うことにより電場観測を実現し、これらの難観測域における電気比抵抗構造の解明を可能にすることを目的とする。具体的には、UAV本体に取り付けた電極とUAVに吊したケーブルの先に取り付けた電極を距離を開けて着陸させ、電極間の電位差を測定する。これによって得た電場データと近傍で測定した磁場データから、Magnetotelluric法を用いて比抵抗構造を得る構想である。2022年度は、UAVを用いた具体的な電極の設置方法および実際の電場の測定方法を検討したのち、小型のUAVを用いてた飛行試験および(UAVを用いない)電場の観測試験を実施した。UAVの飛行試験は、COVID-19感染症による行動規制により限定的となり、御嶽山麓の敷地において実施した。この試験により、電極の投下・設置方法、着陸の際の制御方法などの検証を行った。電場の測定試験では、実際の観測を模した電極の設置方法(非埋設によるPb-PbCl電極測定・ステンレス棒による測定)により、ロガーを用いた高サンプリングレート(1024 Hz)での電場測定の試験を行い、帯域によっては問題なくデータが取得できることを確かめた。また、埋設しないで電場を観測するための設置素材の検討をおこなった。一方で、研究開始当初購入を予定していたUAVが販売停止となり、また、セキュリティ問題により購入可能なUAVに制限が生じていることから、実際の観測で用いる大型UAVの運用体制を見直し、業者からのレンタルによる観測を実施する方針で検討を進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2020年度に生じた購入を想定していたUAVの販売停止、およびセキュリティ問題による購入可能なUAVの制限、物価上昇によって、実際の観測に用いることが可能な大型UAVの予算内での購入が困難な状況となっている。このため、UAVの購入を断念し、UAVを業者より借用し計画を進めるすることを検討中である。また、COVID-19感染症の影響により、2020年度、2021年度に引き続き観測に制限が生じており、2022年度は御嶽山の麓において限定的な試験を実施したにとどまった。このため本研究課題は2023年度まで延長することとなり、想定よりもやや遅れている状況にある。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度は引き続き実際のフィールドに環境の近い御嶽山山麓部にて観測試験を実施する。具体的には、UAVへの観測装置を付けての観測、電場測定装置の展開方法の検討、配置した電極の配置(電極間距離および方向)の計測を他のUAVを用いて測定する方法を確立する。これにより、本研究の目的である遠隔地での電場観測に必要な技術要素の全てを確立することを目指す。なお、レンタルによるUAVを火山地域に持ち込むことは保険等の兼ね合いから困難であることから、実際の難観測地域での電場観測は実施しない可能性が高い。
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