研究課題
基盤研究(C)
近年、火山山頂部および火山島などの「観測の空白域」において、ドローンを用いた遠隔観測が注目されている。しかし、深部比抵抗構造の解明に重要な電場観測は難易度が高く研究例はない。本研究は、海底で先行している遠隔電場観測の技術を応用してドローン電場観測を行い、陸上の「観測の空白域」における地下の電気比抵抗構造の解明を可能にすることを目的とする。令和2-3年度はおもに装置の開発を行い、令和3-4年度に検証試験および研究成果の発表を行う計画である。本観測によって得られた知見は、将来的に月および火星等における惑星内部構造解明に向けた探査にも活用可能であると期待される。
本研究では、火山山頂部などにおける難観測域においてMagnetotelluric法観測を実現するため、UAV (ドローン)を用いた電位差計測の観測試験を実施した。 当初計画していた大型UAVを用いた電位差観測試験は、セキュリティ問題やCOVID19感染症により観測に著しく支障が出たこと、UAV等の価格が高騰したことにより、実現に至らなかった。一方で、中型UAVを用いた実際の観測を模した飛行、着陸、電極設置の試験に成功した。また、UAVからの簡易的な設置方法によって電位差データが取得できることが確かめられた。よって、大型UAVの確保により、目的の観測は実現できると考えられる。
Mangetotelluric法は深部までの比抵抗構造を探査することができる唯一の手法であるものの、通常、観測点の設置には直接人が観測地に立ち入って電極等の設置を行う必要がある。これをUAVによって実現できることがほぼ示されたことは、人が立ち入ることが困難な場合が多い火山の山頂域等での研究を大きく進める可能性を示したことになる。さらに、本手法は地球外の惑星において電位差観測を行うための基礎的な情報も提供する。
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