研究課題/領域番号 |
20K04155
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分18010:材料力学および機械材料関連
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
藤崎 和弘 弘前大学, 理工学研究科, 准教授 (90435678)
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研究分担者 |
飯尾 浩平 弘前大学, 医学研究科, 客員研究員 (70613488)
山下 典理男 国立研究開発法人理化学研究所, 光量子工学研究センター, 研究員 (10734486)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 骨組織 / 力学試験 / 複合材料 / X線回折 / 石灰化 / X線回折 |
研究開始時の研究の概要 |
生物は構造・機能を巧みに構成し、重力や運動、外からの攻撃等によって働く力学的ストレスに対応している。生体組織の常態的「硬化」は外力に抗うための一つの手段といえ、特に陸上では組織硬化により重力下で活動するために必要な剛性を得ている。我々はコラーゲンを主とする軟組織が硬質のアパタイトと結びつき硬化する「石灰化」と、アパタイトが抜け軟化する「脱灰」による微視的な特性変化に着目し、骨組織を電気化学的に処理することで、力学特性を意図的に変える手法を提案してきた。本研究では、アパタイト結晶形成条件や基質構造を変えることで硬・軟質間をより強く「つなぐ」方法を明らかにし、新しい骨強度改善手法を提案する。
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研究実績の概要 |
本研究では「生理学的作用によらない生体組織の石灰化」による力学特性改善手法の提案を目的として、研究代表者がこれまで観察してきた通電によるアパタイト着脱現象を利用した生体組織の石灰化制御技術の確立を目指している。研究分担者らの有する医学・生理学的な知見と、これまで参画者らが培ってきた微視構造観察・評価技術を導入することにより、石灰化制御技術によるアパタイト―コラーゲンの強固な構造化条件を見出す。また、組織間の「つながり」の強さを、組織内部のアパタイト結晶への荷重伝達特性によって評価する。 本期間においては、処理中の微視構造の経時変化を観察するため、①獣骨や腱から試料を作製し、通電によるアパタイト結晶形成形態観察、および、脱灰時の力学特性変化を測定した。②力学特性評価の一環として、組織に形成したアパタイトを対象とした結晶ひずみ計測実験を実施するため、X線装置内に設置可能な負荷装置の設計と各種構成部品の設計・製作を行った。③シリアルセクショニング(断面)観察装置である3次元内部構造顕微鏡を用いて、骨組織の顕微鏡観察、ならびに、微小硬さ試験を行うことにより、微視組織の力学特性評価を実現した。④アパタイト結晶構造解析として、X線回折法および赤外線分光法にてアパタイト生成試料の分析を行い、結晶の形成形態を評価した。⑤生体組織の異常石灰化形態調査の一環として、医療機関と連携して病変試料を取得し、組織の硬化形態を観察した。 以上の活動により得られた骨組織の脱灰、ならびに、軟組織の石灰化についての知見を論文や学会にて公表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
骨および軟組織試料に対する各種実験が進み、研究成果を国際誌や学会発表を通じて公表することができた。また、生体由来試料の入手も実現し、今後の展開が大きく期待できる。
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今後の研究の推進方策 |
アパタイト形成現象の再現性が得られ、本手法による軟組織石灰化の実現性が確認されたが、つくり出された組織の剛性は低く、硬組織を再構築するといった治療技術としての利用には課題が残る。電圧印加による局所脱灰については良い結果を得ているが、臨床応用には実際の病変部に対する処理の適用方法や効果予測など、より高度な実験検証を行う必要がある。
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